シリーズ6・道産作物の主役たち(1996年)

5.タマネギ

 タマネギ(Allium cepa)はユリ科の植物で、私たちが食べるのは葉の一部に養分が蓄えられたもので鱗茎とよばれる部分です。アジアの西部から東地中海沿岸地方の原産と考えられ、4000年を越える栽培の歴史をもっています。江戸時代に長崎の出島でオランダ人が栽培しましたが、日本人による栽培の発祥地は北海道で、明治のはじめにアメリカから品種イエロー・グローブ・ダンバースの種がとりよせられました。現在では食生活の変化で重要な野菜のひとつとなり日本全国で栽培されています。生産量は北海道が最も多く(全国シェアの48%53万t)、とくに北見、富良野が有名です。北海道のタマネギは腰が高い黄色の球形で、3月ごろ蒔き9〜10月に収穫、貯蔵して出荷します。関西のタマネギは扁平から中甲高が普通で、早生品種を秋播き栽培します。葉は濃い緑色の中空の細い管状で、8月中旬になると地上部は茎の付け根が折れて枯れ始め、9月に入ると葉はすっかり枯れてしまい、畑にタマネギが転がっている景色を見ることができます。花は白色で、秋に茎の先端に大きな球状に密集して咲きますが、畑でいっせいに花が咲いている様子は見られません。というのもタマネギは低温状態にあってはじめて花芽が形成される性質をもっているので、種を蒔いた個体がその年の内に開花することはまれなのです。冬の間に貯蔵し芽がでたものをもう一度植えるとトウがたって花が咲くのが普通なのです。たまたま冷夏だったりすると、種を蒔いた年のうちに花が咲くことがありますが、花が咲くと鱗茎の養分がとられてしまい商品として売れなくなってしまうのです。

タマネギ
Allium cepa