北海道の初夏の花の代表格の一つで、可憐な姿と香りのよい花で人気が高いのがスズランです。スズラン(Convallaria keiskei)は、北海道・本州・九州・朝鮮・中国・シベリア東部に分布するユリ科の多年草で、高原や草原に生えキミカゲソウ(君影草)ともいわれます。本州以南では、標高の高い冷涼な高地に分布していますが、北海道では低地の草原や明るい落葉樹の林の下などに群生します。特に酸性の強い火山灰地などに群生するので、島松、恵庭、千歳など樽前山麓、日高、十勝、釧路地方の原野で多く見られます。葉は普通2枚で根元から出て基部は茎を包みます。花は白色のつりがね型で、先が6つに割れ外側にそりかえり、一本の花茎に10個前後ついて下向きに咲き、良い香りがします。スズラン属の植物は日本にはスズラン1種しかありませんが、北半球の温帯には数種あり、日本で観賞用に栽培されているものはヨーロッパ原産のドイツスズラン(Convallaria majalis)です。ドイツスズランは日本のスズランに比べると、葉がやや小型ですが、花はむしろ大きく香りも強く、観賞用のほかに薬用としても栽培されることがあります。
スズランは北海道では郷土の花として親しまれており、札幌市など13市町村の花に指定されています。かつては「スズラン灯」というスズランの花の形に似せて作られた装飾用の街路灯が、道内各地の商店街に設置されていました。また、火山灰地や草原にスズランの大きな群落が普通にみられたので、6月中旬には「スズラン狩り」というスズラン摘みがよく行われていました。しかし現在では自生地が開発や乱獲で減少し、特定の場所でないと大群落はみられなくなり、スズラン狩りは過去の風物詩となってしまいました。現在自生地として有名なのは、恵庭市島松、胆振支庁の早来町、日高支庁の平取町宿主別などです。
人間には親しみ深いスズランですが、家畜はスズランを食べない習性があるため、放牧地ではスズランが逆に増える事もあります。最近は家畜の食べ残しも人間によってすぐに盗掘されることの方が多いようです。
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スズラン
(Convallaria keiskei)
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