シリーズ7・園内で見られる身近な北海道の植物たちI(1997年)

3.オオウバユリ

 7〜8月ごろ、落葉樹林の林下で、1m前後に伸びた茎の頂部に、緑白色のテッポウユリに似ているけれどもユリとは異なる花を10〜20個水平につけているのが、オオウバユリ(Cardiocrinum cordatum var. glehnii)です。ウバユリ属は、ユリ属とたいへん近縁ですが、見かけはずいぶん異なっています。ユリ属では葉は細長く、ほとんど無柄で、葉脈は平行に走っているのに対して、ウバユリ属の葉は幅が広くて心臓形で、長い柄があり、葉脈は網状です。オオウバユリは、本州中部以北、北海道、南千島、樺太に分布し、本州(宮城県・石川県以西) ・四国・九州にはウバユリ(Cardiocrinum cordatum)が分布しています。和名の姥百合は、花期には基部の葉がたいてい枯れていることから、葉を同音の歯に掛けて、歯のない姥(ウバ)ということで名付けられました。

 地下には、白色の鱗片とよばれる葉柄の基部が肥大したものの集合体からなる鱗茎があり (要するにタマネギのようなものです)、ここに栄養を年々貯め込んでいきます。歳がたって鱗茎が大きくなると、初めて花茎を伸ばし開花し、大量の種子をつけて、根出葉も鱗茎もなくなり枯れてしまいます。このようにオオウバユリは一生に一度だけ開花し、種子を生産して枯れてしまうという特殊な繁殖をします。また、開花・種子生産による繁殖のほかに、親鱗茎が鱗茎や花茎の根本に小鱗茎とよばれる子どもの鱗茎を作り、それが親から独立して一個体となる繁殖も行っています。鱗片から良質の澱粉がとれるので、アイヌの人々は、「トレ」とよび(「溶け・させる・もの」の意味をもつ)重要な食糧源として利用していました。掘り取りの時期は、7月始めごろで、花を付けていない個体の鱗茎を採取します。鱗片を一枚づつはがして洗い、剥いだ木の皮の上で叩き、つぶしたものに水をさしかけ一番粉をとるそうです。残ったものは、フキやホオノキの葉で包んでひもでくくり、乾燥棚にのせ、風通しのよい日陰で発酵させ、円盤状にまるめて保存食としたそうです。

オオウバユリ
Cardiocrinum cordatum var. glehnii