サルナシ(Actinidia arguta)は、コクワ、コクワヅル、シラクチヅル、シラクチカズラなどの地方名で呼んだ方が、よく通じる場合が多いようです。これはサルナシの果実やつるが昔からよく利用され、人々の生活に身近な野生植物だったからと思われます。果実(腋果)は広楕円形で長さ2〜2.5cm、果肉は淡緑色で甘酸っぱく、生食されるほか果実酒にもされます。つるは丈夫でくさりにくいことから、杖、かんじき、土瓶敷を作ったり、いかだをしばるのに用いられたりしました。また、太いつるを切ると、下の切り口から水が出るので「水筒木」とよぶ地方もあります。
サルナシは千島南部、サハリン、北海道・本州・四国・九州、朝鮮半島、中国、ウスリーまで広く分布するマタタビ科マタタビ属の植物で、同じ仲間にはマタタビ、ミヤママタタビ、シマサルナシなどがあります。マタタビと同じ仲間?と奇異な印象をもたれる方もいらっしゃると思いますが、花の形を見ると同じ仲間であることが納得できるでしょう。サルナシは山林中に普通にはえるつる性の落葉木本で、他の木について高くよじ登り、太いものでは径が20cmにもなります。葉は厚くて光沢があり、楕円形から広卵形で長さ6〜10cmで柄があります。雌雄混株もありますが、雌雄異株であることが多いので、花期に目を付けておいたのに秋に果実を取りにいったら1個も着いていなかった (つまり雄株であった)という経験をお持ちの方もおられることでしょう。5〜7月、雄花あるいは両性花は小枝の上部に腋生して垂れる花序に3〜7個くらい、雌花は葉腋に1個、白色の梅に似た花をつけます。
キウイは、中国の揚子江流域から台湾に広く分布する原産オニマタタビ (Actinidia chinensis)を食用のために品種改良したものです。サルナシの果実はキウイよりはるかに小さいのですが、輪切りにしてみるとキウイにそっくりの形をしていますし、味もよく似ています。
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