シリーズ8・園内で見られる身近な北海道の植物たちII(1998年)

11.ヤマブドウ

 秋、日当たりの良い山地を歩くと、紅葉した美しい葉に黒紫色の小型のブドウの房をつけたつる植物を見ることができます。これはヤマブドウ(Vitis coignetiae)で、ブドウ科ブドウ属のつる性の落葉木本植物です。南千島、樺太、北海道、本州、四国にかけて分布しています。

 茎は長く伸び、卷きひげで他の樹木に絡み付いてはい上がり、高さ15m以上になることもあります。卷きひげは茎をはさんで葉の反対側に出て、長さ約2 0cmにもなり先がふたつに分かれ、2段続けて出ると1段休むということを繰り返します。枝は赤褐色をしており、堅くやや太めで節くれだって多少曲がりながら伸びます。若い枝は白色の毛に被われていますが、やがてこの毛は褐色となり後にはげ落ちます。年を経たものになると幹は、10cm以上の太さになることもあります。

 葉は長さ10〜30cm、幅10〜25cmと大型で、質は厚く、5角形状で浅く3〜5裂し基部は深いハート型をしています。縁には低くとがった鋸歯がありギザギザになっています。葉の裏面には褐色の細かい毛が密生し、表面にもはじめは毛がありますがやがて無毛となります。葉脈は表面でしわのようになってくぼみ、裏面で隆起します。

 6月ごろ、あまり目立たない黄緑色の小さな花が、円錐形に多数集まってつきます。果実は直径8mm〜1cmほどの液果(水気の多い果実)になり、10月ごろには黒紫色に熟し、柄を含めると長さ20cm、幅8cmほどの大きな房となって垂れ下がります。

 ヤマブドウの果実は食用の他にジュースやジャムの原料にも使われ、熊や猿などの野生動物も好んで食べます。ヤマブドウの酒として知られる北海道池田町の十勝ワインの一名柄「アムレンシス」は、この種ではなく朝鮮半島や中国に分布しているチョウセンヤマブドウ(Vitis amurensis)の栽培品種が主原料となっています。アイヌやウィルタ民族の人々は、食用の他につるや樹皮から、縄や網、袋物、ぞうりなどを作って利用していたそうです。

ヤマブドウ
Vitis coignetiae