キバナノアマナ(Gagea lutea)は早春、雪がとけるとまもなく真っ先に、明るい落葉樹林の下や日当たりの良い草地に咲く、高さ15〜20cmの黄色のかわいいユリ科の花です。アマナに似ていますが、白ではなく黄色の花を咲かせるところからこの名前がついてます。しかし形態を見てもアマナ属とは似ておらず、直接的な類縁関係はありません。本州中部以北(本州西部、四国に稀)に分布し、ユーラシア大陸にも広く分布します。雪がとけると枯れ草の間から芽を出し、やや銀色をおびた緑色の1枚の長い葉と、上部に2〜3枚の葉(包葉)をつけた1本の花茎を出します。花茎には、長さ12〜14ミリの6 枚の花びらからなる黄色の花を3〜10個ぐらい付けます。花は日の当たってる時だけ開き、日がかげると閉じてしまいます。花びらの裏側には緑色のすじが入っています。地下には直径1センチほどの球形の鱗茎(球根にあたるものです)があり、夏にはこの鱗茎を残して地上部は枯れてしまいます。この鱗茎のサイズは種子が発芽してから年々大きくなり、あるサイズに達すると開花を開始し、ほぼ一定の鱗茎サイズを保ちながら毎年花を咲かせるようになります。キバナノアマナのように春早く林の中がまだ明るいうちに花を咲かせ、林床が暗くなる夏には種子を散布して地上部が枯れ、地下に鱗茎のようなエネルギーの貯蔵器官を残し来年の春まで休眠する多年生の草本植物を、春植物(spring ephemeral)といいます。北海道で見られる他の春植物としては、フクジュソウ、アズマイチゲ、キクザキイチゲ、ニリンソウ、エゾエンゴサク、カタクリなどがあげられます。
植物園内でキバナノアマナの様子を観察してみると、葉が地上に現れるのは 3月下旬から4月上旬で、4月中旬から5月始めに開花します。開花の開始時期はその年の積雪や融雪、気温の状況によって変動し、1987年から1996年までの10年間のデータを見ると、平均の開花開始日は4月17日、最も早い年は 4月3日、遅い年は4月25日となってます。そして地上部が枯れるのは種子を散布した後の6月中旬ぐらいです。植物園ではローン(芝生)の日当たりのとても良い場所と落葉広葉樹林内に多く分布しており、両者で密度を調べてみると、ローンでは1平方メートル当たり2700〜5500個体、林床では350〜860個体となっています。そして開花している個体の大きさを比べてみると、ローンの方が林内に比べて小さい個体からの開花が認められます。なぜこの様な違いがあるかについては、今後調べてみる必要がありそうです。
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