シリーズ8・園内で見られる身近な北海道の植物たちII(1998年)

8. ハマナス

 ハマナス(Rosa rugosa)は、日当たりの良い海岸砂地で6〜8月にかけて鮮やかな濃紅紫色の花を咲かせるバラ科の低木で、高さ1〜1.5mぐらいになります。北海道全域から太平洋側は茨城県、日本海側は島根県まで分布し、サハリン、朝鮮、沿海州、千島、カムチャツカにも広く分布しています。北海道では沿岸で広く見られること、花も実も美しく、また素朴で力強い感じがすることなどから、昭和54年(1979年)道民投票によって北海道の花に選ばれ親しまれています。和名はハマナス(浜茄子)、あるいはハマナシ(浜梨)の両方がありますが、現在はハマナスという名前の方が一般的に使われています。

 北海道ではハマナスは、エゾスカシユリ、エゾキスゲ、センダイハギ、ハマフウロ、エゾノシシウド、ヒロハクサフジ、キタノコギリソウなど、美しい花をつける植物を主体とした多種類の植物から構成される海岸草原(原生花園)を代表する花となっています。地ぎわから走出枝を株の外側に次々出して増えるため大群落を作りやすく、しばしば第1砂丘の背面から第2砂丘にかけて帯状の大群落を形成します。

 葉は7〜9枚の小葉からなる長さ9〜11cmの羽状複葉です。種小名のRugosa は「しわのある」という意味で、これは深緑色でやや光沢がある小葉の表面に細かいしわがあることから名づけられました。枝はよく分枝し、鋭い刺と短毛が密生しています。濃紅紫色の花は大型で、直径6〜8cmで強い香りがあり、枝の先に1〜3個つきます。花びらの数は5枚で、中心部分は、黄色い雄しべの数が多いのでよく目立ちます。花が終わるとがく筒(がくの下の部分)がふくらみ、成熟すると橙赤色の美しい果実となります。果実は直径 2〜3cmの扁球形で光沢があります。この実にはビタミンCが多く含まれ、そのまま食べたりジャムにしたりすることもあります。ハマナスの樹皮や根皮はタンニンを含み染料として用いられ、花は香水の原料として使われます。

ハマナス
Rosa rugosa