サクランボは、可憐な姿と甘酸っぱい味で親しまれている初夏の果実です。「オウトウ(桜桃)」とも呼ばれますが「サクランボ(桜坊)」という名も通称で、植物学的には「セイヨウミザクラ(西洋実桜)(Prunus avium)」が正しい名前です。バラ科サクラ属に分類され、中心部の固い種を柔らかい果肉が覆う果実の構造をもち、ウメやモモも同じサクラ属に入ります。観賞用のサクラでも花が散った後に黒っぽい実をつけるものがあり、この果実も苦くて美味しくはありませんが食べられます。樹高15〜20mに達する落葉高木で、葉は長さ5〜12?の卵状または倒卵状長楕円形で先端は急にとがり、縁はギザギザしていて裏側の特に葉脈上に軟毛があります。サクラに似た白い美しい花は3〜7個散状に集まって咲き、がくは反転しています。6月下旬から7月にかけて、長さ3〜5?の柄の先に直径 1.5〜2.5?、6gほどの光沢のある果実をつけます。淡黄色に鮮やかな紅をさした色の「ナポレオン」や「佐藤錦」といった品種がおなじみですが、歌謡曲にある「黄色いさくらんぼ」のように黄色の地にうっすらと赤味のかかった「黄玉」や、輸入チェリーによくみられる大粒で紫黒色をした「ビング」など数多くの品種があります。サクランボは、1品種だけでは何本植えても実を結ばないという特性(これを自家不親和性といいます)を持つため、実をつけるには相手となる別の品種とともに植える必要があります。しかしこの相手選びにはかなり厳しい条件があり、相性が悪ければ絶対に実を結ばないそうです。
原産地は西アジアですが有史以前から鳥などにより種子が運ばれ、ヨーロッパ一帯で野生化したといわれています。日本には明治初めに多数の品種が導入され、冷涼で生育期間中に比較的降水量の少ない気候に適することから、山形県をはじめとする東北地方や北海道の日本海側で盛んに栽培されるようになりました。主に生食されるほか、シロップ漬やチェリーリキュールなどに加工されお菓子の材料などに使われます。
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