シリーズ9・食卓を彩る果物たち(1999年)

3.メロン

 上品な香りと甘さを持つメロン(Cucumis melo)は「果物の王様」とされていますが、植物学的にはキュウリ(黄瓜)と同じウリ科キュウリ属に分類される一年生のつる植物です。一口にメロンといっても数多くの変種や品種があり外観や品質は様々で、デザートとしておなじみの西洋系のものから、『古事記』や『万葉集』にも登場する楕円形のマクワウリ(var. makuwa)や、奈良漬けなどに利用される円筒形のシロウリ(var. conomon)などの果皮の平滑な東洋系のものまで含んでいます。西洋系メロンの主役ともいえる網メロン(var. reticulatus)は、果実表面の隆起した白い網目からネットメロンと呼ばれています。中でも特有の強い芳香を持つものにマスクメロンがあります。縦溝のあるつるは長さ2m以上に伸びて地面をはい、広卵形の葉は直径7〜15?、浅く5〜7裂していて基部に巻きひげを生じ、全体に粗毛があります。雌花と雄花が同じ株についてどちらも直径2〜2.5?の黄色い花を咲かせます。花粉がめしべに付着すると雌花の下部の膨らみは肥大を始め、開花後40〜60日で直径10〜20?の果実となります。

 原産地については中央アジア、中近東、アフリカなど諸説ありますが、古代エジプトの寺院の壁画に登場するほど古くから栽培されていたようです。日本で網メロンの栽培が始まったのは明治中期のことですが、低温と湿気に弱いため温室栽培が一般的で手間とコストのかかる高価な果物とされてきました。しかし品種改良が積極的に進められた結果、現在ではビニルハウスや露地で比較的簡単に栽培できるようになって、メロンは身近な果物となりました。「夕張メロン」の名で親しまれている北海道独自の品種「夕張キング」は、網メロンと西洋メロンの一種を交配してできた露地品種で、ネットが美しく、香り、甘味がともに強い赤肉のメロンです。また「プリンスメロン」はマクワウリの一種と西洋メロンの一種を交配したもので、ネットではありませんが西洋メロンの風味とマクワウリの耐病性を合わせ持つ露地メロンの代表的な品種です。今も品種間や変種間でのかけ合わせから数多くの新品種が作出され、メロン戦争が続いています。

網メロン
Cucumis melo var. reticulatus