シリーズ10・園内で見られる身近な北海道の植物たちIII(2000年)

13.シャク

 6月ごろ草丈1m前後のシャク(Anthriscus sylvestris)が雪のように白く細かい花を咲かせるのを園内の広葉樹の林床で見ることができます。シャクはセリ科シャク属の多年草で、北海道から九州にかけての山中や湿地、明るい林の中でよく見られ、ヨーロッパ、シベリア、モンゴル、中央アジア、中国東北部、朝鮮半島にかけて分布しています。属は異なりますが、同じセリ科の仲間に春の七草として知られるセリ(Oenanthe javanica)や、ニンジン(Daucus carota var. sativa)、セロリ(Apium graveolens var. dulce)、パセリー(Petroselinum sativum)などがあり、シャクも葉をちぎってみるとセリ科特有の芳香があります。

 シャクの根は多肉質で地中に直下し、縦溝のある緑色の茎は直立し上部でよく枝分かれします。葉の長さは20〜50?、そんなに大きくないのでは?と思われるかもしれませんが、葉柄から先の小さな葉が多数集まって見える部分全体が実は1枚の葉で、このような形の葉を羽状複葉といいます。白い花は、傘を広げたときの骨のように放射状に伸びた柄の先に付き、さらにこの傘を5〜6本束ねたように集まって咲くため、花全体は大きなカリフラワーのように見えます。この花のひとつひとつは直径4〜5?と小さく、 5枚の倒卵形の花びら(花弁)からなります。この花弁は花序の中心部の花では大きさに差はありませんが、周辺部の花では外側の花弁が大きく5枚の大きさがそろっていません。 8月になると長さ5〜6?の細長くやや光沢のある黒い果実をつけます。学名のAnthriscusは「花の垣根」、sylvestrisは「森林生の」という意味で、ようやく暖かくなったころ山中で背の高いシャクが群落をなして白い花を咲かせる光景は、まさに生け垣のようです。本園で1987年から行なっている調査によると、シャクの平均開花日は5/21で早い年は5/12に、遅い年でも5/29に開花しています。

シャク
Anthriscus sylvestris