ゼンテイカ(Hemerocallis middendorffii var. esculenta)は山地から亜高山帯の草原や海岸、湿地に多く自生するユリ科ヘメロカリス属の多年生草本で、エゾカンゾウとも呼ばれます。群生することが多くサロベツ湿原や霧多布湿原の群落は見事です。本州産のものをニッコウキスゲ、北海道産のものをエゾゼンテイカとして区別していましたが、その形態的な違いが微妙なことから、最近は同じ種とすることが多いようです。
葉は長さ60〜70?、幅1.6〜2.0?と細長く、弓形に曲がって垂れます。6月から7月にかけて高さ60〜80?の花茎を伸ばし、橙色で先がわずかに反り返った直径7〜8?のユリ型の花を3〜10個つけます。この花は6枚の花びら(花弁)があるように見えますが、花弁は内側の3枚だけで外側の3枚はがくが変化したものです。このように花弁とがくに見かけ上の違いがないときは、それぞれを内花被、外花被と呼びます。果実は長さ2.2〜2.5?の広楕円形で3綾あり、長さ5〜6?の黒い光沢のある種子を作ります。花は午前中に開いて夕方に閉じる1日花で、属名のHemerocallisはラテン語のhemelos(日)とkallos(美しい)からなる「1日の美しさ」を意味しており、花が1日でしぼむことに由来しています。
アイヌの人々はカッコウ鳥の鳴く頃にこの花が咲くことから「カクコク・ノンノ」(カッコウ鳥・花)と呼び、若葉やつぼみ、花を食用としていたようです。園内の草本分科園ではゼンテイカのほか、黄色い花が夕方から翌日の午後まで開くエゾキスゲ(H. lilioasphodelus var. yezoensis)、八重咲きのヤブカンゾウ(オニカンゾウ、H. fulva var. kwanso)を見ることができます。第二次世界大戦後、主にアメリカで、ヘメロカリス属の野生種から盛んに種間交雑や品種改良が行われた結果、黄・緋紅・桃・紫色、八重咲き、直径15?にもなる大輪咲きなど約3万種にものぼる園芸品種が育成され、「ヘメロカリス」または「デイ・リリー(Day-Lily)」の名で園芸店などに出まわっています。
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エゾゼンテイカ
(Hemerocallis middendorffii var. esculenta)
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