秋の風情を見せる草花として古くからなじみの深いエゾリンドウ(Gentiana triflora var. japonica)は、本州中部以北、北海道、千島、樺太の山地から湿地に自生するリンドウ科リンドウ属の多年生植物です。リンドウ属はアフリカを除く世界の温帯と熱帯に約500種が知られています。エゾリンドウはこの中でも最も豪華・秀麗で、本州から四国、九州の山野で広くみられるリンドウ(G. scabra var. buergeri)よりも花が大きくまた花付きもよいことから、切り花用として広く栽培され「リンドウ」の名前で売られているものの多くはエゾリンドウの栽培品です。一方、リンドウやエゾリンドウの根にはこの美しい花からは想像も出来ないほど強い苦味があり、この苦味成分が唾液と胃液の分泌を増加させることから古くから健胃剤として用いられてきました。しかしリンドウに比べてエゾリンドウの根に含まれる苦味は少ないため、現在では薬用としてはリンドウが使われています。生薬品は「竜胆(りゅうたん)」とよばれ、リンドウの名はこの竜胆(りゅうたん)の漢名がなまったものといわれています。
エゾリンドウの茎は直立して草丈は1mほどになり、葉は1対ずつ向かい合ってつき(対生)、葉の付け根は茎を抱きかかえます。葉の長さは5〜10?、幅1〜3.5?で卵形から披針形をしていて裏面はやや白っぽく、縁にギザギザがなくなめらかです。 8月から9月にかけて濃青色から淡青色、まれに白色の花が5〜20個、茎の先端部から上部の葉腋に密生します。花はつり鐘型(筒状鐘型)をしていて長さ4〜5?と大きく、先端が5裂して花弁は全開し、その外側にある萼(がく)も5裂しますがその裂片は揃っていません。リンドウ属の多くの花は、天気の悪いときや夜には閉じて、晴れた日の日中になると開きます。
植物園内の草本分科園ではエゾリンドウを、高山植物園ではエゾリンドウの高山型で草丈20〜30?のエゾオヤマリンドウ(G. triflora var. montana)をそれぞれ見ることができます。
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エゾリンドウ
(Gentiana triflora var. japonica)
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