シリーズ11・北海道で見られる帰化植物たちI(2001年)

1.セイヨウタンポポ

 春の暖かい日に、日当たりの良い空き地や線路沿いにまるで黄色いじゅうたんのように広がるタンポポは、子供達の野遊びの相手として懐かしい植物の一つです。 タンポポの名は、鼓を叩く音の「タン」とその共鳴音の「ポポ」をあらわす幼児語に由来するという一説があり、「ツヅミグサ」とも呼ばれています。

 タンポポ属は日本に約20種が自生しており、北海道では道端や野原で主にエゾタンポポを見ることができます。一方、明治になってから渡来したヨーロッパ原産のセイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)は、 今や在来種を圧倒する勢いで都市周辺を中心に耕地や牧草地で増え続けている帰化植物です。学名のTaraxacum「苦い」、officinaleは「薬用の〜」の意味で、根は健胃剤として広く用いられるほか、煎ってコーヒーの代用にすることもできます。 またヨーロッパでは、葉の大きな改良種をサラダ菜として食用にします。セイヨウタンポポの花は総苞の外片がつぼみの時から下向きにそり返っているのが特徴で、これで在来種と見分けることができます。

 セイヨウタンポポの強い繁殖力の秘密として、次のような代表的な特徴をあげることができます。1.在来種の開花期はほぼ春に限定されるのに対して、セイヨウタンポポはピークとなる春を中心に秋まで咲き続ける。2.在来種が種子を作るためには、昆虫によって運ばれた花粉が雌しべに付着することが不可欠(両性生殖)なのに対して、セイヨウタンポポは花粉が雌しべに付着しなくても種子を作ることができる(単為生殖)。3.セイヨウタンポポの種子の重さは在来種の約半分で、タンポポ属の中で最もよく飛ぶことができる。 …これらのことから、セイヨウタンポポは子孫を残すための生殖期間が長く、かつ昆虫の少ない都会でも1株あれば繁殖が可能で、さらに子孫を分散する能力にも長けているといえます。こういった性質は都市化された環境での繁殖に有利といえるでしょう。 セイヨウタンポポ、エゾタンポポはともに草本分科園で見ることができます。   

若い頭花(つぼみ)の総苞
(左)セイヨウタンポポ    (右)エゾタンポポ

セイヨウタンポポ
Taraxacum officinale