シリーズ11・北海道で見られる帰化植物たちI(2001年)

2.シロツメクサ、ムラサキツメクサ

 子供の頃に誰もが陽のあたる野原で四ツ葉のクローバーを探したり、首飾りや冠を作ったりしたことがあると思います。「クローバー」は一般にシロツメクサのことを指しますが、 本来は「3つの葉」という意味のTrifolium(シャジクソウ属)をまとめて呼ぶ言葉で、トランプの模様にもこの特徴が描かれています。また、まれにみられる四ツ葉のクローバーは、十字架に見立てられることから幸福のシンボルとして喜ばれます。 この仲間で最も普通に見られるのがシロツメクサ(Trifolium repens)とムラサキツメクサ(T. pratense)です。 ともにヨーロッパ原産のマメ科の多年草で、優秀な牧草として世界に広がっています。

 シロツメクサが渡来したのは19世紀中頃、オランダからガラス製の器が輸送された際に、すき間にこの枯れ草が詰められていたことから、「詰め草」と呼ばれるようになりました。現在全国的に帰化しているものは、江戸時代に渡来した物とは別に牧草や芝生用として輸入されたものと考えられています。種小名のrepensが「地をはった〜」を意味しているように、茎は地面をはいながらところどころ節から根を出し、長い柄を持つ葉と花序を立ち上げます。一見ひとつの花のように見える直径15〜25mmの球形の頭花は、長さ8〜12mmの蝶が止まったような形の花(蝶形花)が30〜80個集まってできた総状花序です。ほふくしながら生育する性質上踏みつけに強く、芝生の代用として運動場や広場にまくこともあります。

 一方ムラサキツメクサは、明治維新頃に牧草として導入されたものが寒冷地を中心として全国に広く帰化しており、種小名のpratenseは「牧草の〜」を意味しています。 シロツメクサと違って全体に褐色の軟毛が多く、茎は地をはわずに直立して高さ30〜60cmになるほか、赤紫色の頭花も20〜30mmとやや大きいためよく目立ちます。 この花色からシロツメクサに対してアカツメクサとも呼ばれます。シロツメクサ、ムラサキツメクサともに花期は5〜10月で、草本分科園で見ることができます。

シロツメクサ
Trifolium repens

ムラサキツメクサ
Trifolium pratense