シリーズ11・北海道で見られる帰化植物たちI(2001年)

3.ビロードモウズイカ

 真夏の太陽が輝きはじめるころ日当たりの良い線路沿いや空き地で、ひときわ大きな草姿と美しい銀色の葉で目を引きつけるのは、 ゴマノハグサ科モウズイカ属のビロードモウズイカ(Verbascum thapsus)です。 属名Verbascumは「ひげの生えているもの」の意味で、和名の「毛蕊花(もうずいか)」とともに雄しべ(雄蕊:ゆうずい)、葉、果実など全体が灰白色のビロード状の綿毛でおおわれていることからこの名がつきました。また、葉の形がたばこの葉に似ていることからニワタバコともよばれます。 ヨーロッパ原産ですが世界に広く野生化しています。日本には明治初期から中期にかけて観賞用として持ち込まれ、 雄大な草姿と美しい花から現在でも庭などで栽培されています。こぼれ種でもよく増えることから全国各地に野生化しており、 特に東北から北海道にかけて多く分布しています。

 円形の太い茎は直立して高さ1〜2mにもなります。 長楕円形の葉は茎の下部で長さ30cm、上部でも20cmにもなり、両面に白毛を密生させているため厚い毛布のような 感じがします。上部の葉では基部が狭くなって茎に、ひれ(翼)状につきます。 7〜8月にかけて茎の先端から、花が密に集まった長さ50cmにもなる総状花序を出します。黄色い花は直径約2cm、1本の雌しべと5本の雄しべがあります。 この5本の雄しべのうち、3本の花糸には白い長毛が密に生えています。花が終わった後にできる果実(さく果)は球形で密毛におおわれていて、 さらに萼(がく)に包まれています。種子は長さ0.7mm、種をまいてはじめの年はロゼットと呼ばれる根際から放射状に葉を広げた形で過ごし、翌年になってから茎を直立させて花をつける二年草です。 園内では、草本分科園で見ることができます。

 日本ではビロードモウズイカのほかに、 全体に毛のないモウズイカ(V. blattaria)がモウズイカ属の帰化植物として知られています。 

ビロードモウズイカ
Verbascum thapsus