シリーズ11・北海道で見られる帰化植物たちI(2001年)

6. キクイモ

 山々が紅葉で色づきはじめ澄み渡る空にひんやりとした空気を感じるころ、道ばたや線路沿いでまぶしい橙黄色の花をつけるのは、キク科ヒマワリ属のキクイモ(Helianthus tuberosus)です。人の背丈よりも高くなる北アメリカ原産の多年草で、菊に似た美しい花が咲き、地下にイモ(塊茎 かいけい)ができることからこの和名が付けられました。種小名のtuberosusも「塊茎のある」の意味です。この塊茎にはイヌリンと呼ばれる一種の糖が多量に含まれるので、果糖やアルコールの原料になるほか、茎や葉は家畜の飼料になります。日本に渡来したのは江戸末期から明治の始めで、第二次世界大戦中には果糖原料および飼料作物として全国的に栽培されていました。現在では観賞用や切り花にするために一部で作られる以外にはほとんど栽培されなくなりましたが、一度植え付けると根絶できないといわれるほど繁殖力が強いので、各地の畑の隅や荒れ地で野生化しており、特に北海道に多いといわれています。

 全体に白い粗毛が生えていて、茎や葉に触れるとザラザラとした感触があります。茎は直立して高さ1〜3mにもなり、上部でよく分枝します。卵状披針形から広卵形の葉は、茎の下部では対生(2枚が向かい合って付く)しますが、上部ではすべて互生(互い違いに付く)しています。9〜10月になると、分枝した茎の先に直径6〜8cmの橙黄色の頭花が多数つきます。この花が咲き始めるころ、地下では株際から多数の地下茎が伸び、やがてその先端が肥大してゴツゴツした塊茎になります。生育条件が良いところでは、ジャガイモほどの大きさに生育するそうです。

 一方、キクイモによく似ていますが塊茎の肥大しないイヌキクイモ(H. strumosus)も、荒れ地に生育する北アメリカ原産の多年草です。イモが採れず、役に立たないことからこの和名がつけられました。花期は8〜9月とキクイモよりやや早く、こちらも各地で野生化しています。

  このほかヒマワリ属(Helianthus)の仲間には、ヒマワリ(H. annuus)やヒメヒマワリ(H. debilis)などが北アメリカを中心に約100種あり、属名のHelianthusはギリシャ語で「太陽の花」を意味しています。

キクイモ
Helianthus tuberosus

塊茎