野原や荒れ地にひときわ目立つ大きな群落を作り、秋に地味な花をつけるヒメムカシヨモギ(Erigeron canadensis)は、いかにも「雑草」といった雰囲気を持つキク科の1〜越年草です。原産地は北アメリカですが、今では世界的に熱帯から温帯まで広く見られる農耕地雑草で、日本でも畑や牧草地などいたる所にはびこっています。種小名のcanadensisは「カナダの〜」を意味しており、和名の「姫昔蓬」は日本の在来種であるムカシヨモギ(E. acris var. kamtschaticus)に似て、花が小さいことに由来しています。
荒い毛が密生する茎は直立して上部で多数の枝を分け、高さ0.5〜1.5mになってときには2mにも達します。葉は茎を取りまくように密につき、長さ 7〜10?、幅0.5〜1.5?と細長く、縁にはまばらに長毛が生えています。このうち下につく葉はヘラ型で、縁に浅いきょ歯がありますが、上部にいくほど線形で小型となり、きょ歯も見られなくなります。8〜10月ごろになると、分岐した細い枝の先端に直径3?ほどの花を無数につけて、円錐形の大きな穂状花序をつくります。この花をよく見ると、黄色い中心部分(筒状花)のまわりに白色の花びら(舌状花)が多数並んでいるのがわかります。種子は長さ約1?と小さいうえに非常に軽く、加えて長さ2.5?ほどの冠毛を持つため、風に乗ってより遠くに飛散することができます。また1株当たりの種子生産数が、10万粒以上と極めて多いことも、旺盛な繁殖力の一因といえるでしょう。
日本に渡来したのは明治の初めごろで、外国からの輸入品にこの種子が混入もしくは付着して侵入したと考えられています。その後またたくまに広がって、現在では全国どこにでも群生する雑草の横綱的存在となっています。鉄道沿線に多く見られ、また鉄道の開設とともに広がったためテツドウグサ(鉄道草)と呼ばれるほか、帰化した年代からメイジソウ(明治草)、ゴイシングサ(御維新草)とも呼ばれ、方言を含めると40もの名前を持っています。
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ヒメムカシヨモギ
(Helianthus tuberosus)
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