シリーズ12・北海道で見られる帰化植物たちII(2002年)

9.ヒメジョオン

 北アメリカ原産のヒメジョオン(Stenactis annuus)は、世界中に広く帰化しているキク科の越年草です。日本でも全国各地の道ばたや空き地、畑地、線路沿いなど、いたるところで見られる普通の雑草で、「帰化植物の代表格」と言っても過言ではないでしょう。中国の野草、女?(ジョオン)に似ていたことから、「姫女?」の名が付けられました。原産地の北アメリカでは、かつて結石の薬または利尿剤として使われたそうです。

 茎は淡緑色で荒い長毛がまばらに生えており、直立して高さ30〜130cmになります。茎の下部に付く葉は円形に近く、長い柄がありますが、開花する頃には枯れ落ちてしまいます。一方、上部の葉は幅の狭い被針形から長楕円形で、柄はほとんどなく、縁と下面中央の脈の上には白い毛が生えています。6〜9月にかけて、分枝した茎の上部に白色から淡紫色の花が、多数つきます。直径2cmほどで、よく見ると可愛らしい花です。

 明治維新前後に渡来したといわれていますが、その当時は柳葉姫菊(やなぎばひめぎく)と呼ばれ、外来の珍草としてかわいがられていたようです。しかしセイヨウタンポポと同様に、単為生殖をする(受粉しなくても種子を作る)ことに加えて、種子が非常に軽く風によって容易に遠くまで運ばれることなど、繁殖上有利な性質を兼ね備えていたことから、あっという間に各地に広がりました。特に市街地や農耕地など、肥沃でやや湿った人家近くの場所を好んで生育しますが、最近では亜高山帯にまで入り込んでいるようです。

 ヒメジョオンによく似た姿のハルジオン(Erigeron philadelphicus)は、春から初夏に開花する多年草です。和名は「春に咲くシオン(紫?)」の意味ですが、ヒメジョオンと対にしてハルジョオンとも呼ばれています。花はやや赤みを帯びていて、つぼみの時には花全体が下を向いているという特徴があります。またヒメジョオンの茎は、中心に白い随が詰まっているのに対し、ハルジオンはストローのように空洞となっています。どちらか迷う時は、茎の断面を見てみると、容易に見分けることができるでしょう。ハルジオンも原産地は北アメリカで、今日ではヒメジョオンとともに春から初夏の野原を代表する花となっています。

ヒメジョオン
Stenactis anuus