シリーズ13・ロックガーデンを彩る高山植物たち(2003年)

3.ハクサンシャクナゲ

 枝先に黄緑色のつやつやとした葉を広げ、その先にほのかに紅色を帯びた白い花が集まって咲くハクサンシャクナゲ(Rhododendron brachycarpum)は、高山に短い夏の訪れを告げるツツジ科ツツジ属の常緑広葉樹です。シャクナゲはツツジ科ツツジ属?と不思議に思われるかもしれませんが、この花の形をよく観察してみると同じ仲間であることがわかります。漏斗(ろうと)形をした直径3〜4?の花は、先端が5裂し、内側の上部には緑褐色の斑点があって目立ちます。つぼみの時はやや濃いピンク色をしていますが、大きくふくらむにつれてその色は薄くなり、開花する頃には淡い紅色または白色になります。この花が枝先に10個前後、時には約20個も集まって咲くので、遠目からはまるで白い毬のように見えます。

 葉は長さ5〜15?、幅2〜5?の長楕円形で、厚みがあって質も硬く、表面は光沢がありますが、裏面には褐色の細かい毛が密生しています。葉の縁はなめらかで、裏側へ少し巻いているのが特徴的です。真冬になるとその葉は裏側に完全に巻き込み、まるで傘を閉じたかのように垂れ下がります(右図)。これは水分の蒸発しやすい葉の裏面を、内側に巻き込むことで外気から守り、葉の内部から水分が逃げるのを防いでいるのです。秋に葉を落とさない常緑の広葉樹が、長く厳しい高山の冬を乗り切るための手段の一つなのでしょう。

 北海道、本州中部以北、四国の一部、および朝鮮半島北部に見られ、主に亜高山帯の針葉樹林内に生育しています。高さは1〜2mほどですが、標高が高い場所や、環境条件の劣悪な場所では高さ30〜50?ほどにしかならない場合もあります。さらに高所の高山帯ハイマツ林に達すると、ハクサンシャクナゲにかわってキバナシャクナゲ(R. aureum)の姿が見られるようになります。その名の通り黄色からクリーム色の花をつけるシャクナゲで、高さは約20?と低く、這うようにして生育しています。

 本園の高山植物園に植栽されているハクサンシャクナゲは、例年6月のはじめに開花し、7月中旬まで楽しむことができます。一方のキバナシャクナゲは、これより早く4月下旬から5月上旬にかけて開花します。

参考:日本の野生植物(平凡社1989)ほか

ハクサンシャクナゲ
(Rhododendron brachycarpum)

冬の姿