歴史/沿革

実習場歴史

昭和15  函館高等水産

昭和34  北大水産学部

昭和41  北大水産学部管制施行

平成13  北大フィールド科学センター七飯淡水実験所

 

施設設立の目的

魚類の人工増殖及び繁殖保護に関する学理とその応用の研究および教育

 

施設概況

1所在地:北海道亀田郡七飯町字桜町498

 

2総面積11,339 m2  床面積 344 m2

 

3フィールドとしての特徴

 函館市の北側に隣接した七飯町の中心部、国道5号線沿いに位置し、函館市港町の水産学部より車で約20分、また大沼公園から15分の距離にある。水源は、水利権を有する久根別川水系鳴川より河川水を取り込むとともに、場内からの井水(毎分1トン)を使用している。現在保有するのは、コイ科魚類数種・チョウザメに加えサケマス類は1425系統を維持し、遺伝学的に貴重な資源を抱えている。また当実験所で選抜育種された無斑系サクラマス、アルビノイトウの系統も飼育されている。

 実習施設の周辺は、住宅地になっているが場内には自然が残されており、ギョウジャニンニク、ミズバショウ等が自生する外、エゾリス、ミンク、コウライキジ、カモ、アオサギ等が生息、来場する。

 

4水源

              河川水鳴川     

                            鳴川護岸、川畔林の伐採→河川水温の上昇 真夏摂氏20℃を超える水温

                            函館新道 道路の雨水が河川に流れ込む構造

                                       七飯インターチェンジでの融雪剤の散布

 

              井水      河川水取水口の封鎖=大量死亡

                            河川水量の減少 毎分200・(=毎時12t     水利権=水量毎時200t

                            このため井戸を 平成3年に窄井

                            鳴川護岸にともなう井水の白濁(セメントミルクの注入処理?)

 

5現有する主な施設・設備

 施設は研究室本館、飼育棟、養魚実習所からなり、コンクリート池13面他、大小80以上の飼育水槽を有する。

 

6七飯淡水実験所で行われたこれまでの研究 

・イワナ類の繁殖生理学的研究(初代教官・久保達郎)

 日本のイワナ類は、河川の上流の限られた生息域に分布している。近年、これらの生息域が狭められ、遺伝集団が大きく減少している。七飯淡水実験所では、日本各地のイワナ類を集め、それらの繁殖生理学的な研究を行った。これらの研究の成果より人工的な増殖法が確立され、日本各地でのイワナの集団が人工的に維持できるようになった。

 

・サケマス類の染色体操作(2代目教官・小野里坦<現信州大学教授>)

魚類の増養殖においては、オスメス一方の性に有用性が高い場合が多い。例えば、ヒラメではメスの成長が早く商品価値が高いし、サクラマスではオスの多くが河川に残留する。このような場合、一方の性のみの集団を作ったほうが養殖・増殖において効率がよい。七飯淡水実験所では、全メス、全オス集団、さらにはクローン集団や不妊化集団を作り出す技術を確立し、水産増養殖に新たな展開をもたらした。

 

・魚類の免疫生化学的研究(3代目教官・原彰彦<現北大水産科学研究科教授>)

魚が成熟して行く過程で、卵に貯えられる蛋白質は肝臓で合成され血液を介して卵巣へ運ばれる。このため、血液を調べることで、いつ頃から卵が作られ始めるのかが明らかになる。一方、卵を作らないオスではこの蛋白質は作られない。従って、イトウ等の成熟までに時間がかかる魚種では、血液を調べればいつ頃から生殖が始まるかが分かる。また、オスメスの区別が可能と考えられる。この研究の過程で、オスの魚でも卵の蛋白質が作られることが明らかにされ、環境ホルモンの生物学的な検出の方法が確立された。

 

・魚類の発生工学的研究(現教官・山羽悦郎)

 近年、初期胚を操作しクローンを作る研究等が畜産の分野で行われてきている。水産の分野でもこれらの技術の開発を行うため、まず基礎的な研究として魚の初期の細胞の分化の機構を、発生工学的な手法を用いて研究を進めている。

 

・イトウの養殖技術の開発(技官・木村志津雄)

 イトウは、環境庁のレッドデータブックで絶滅危惧種として記載されている。七飯淡水実験所では、このイトウの人工的な増殖技術を確立し、さらには養殖品種としてアルビノ(白子)形質を固定した。現在14年魚、最大98cmのイトウを飼育している。目標は1mである。七飯淡水実験所