つづき
文責 五十嵐
みなさんは新潟県を北の端から日本海に沿って自転車で走ったことがあるだろうか。
ありませんね?
ぼくはありますよ。
同じような海岸線が延々と続く、睡魔との戦いの道。
その日もぼくは半分寝ながら自転車をこいでいた。
眠たい・・。
あー、夏休み・・・
サビの部分しか知らない歌をリピートしているうちにぼくの眠気はピークに。
とその時、ぼくはとんでもないものを見た!!
・・でかい。でかすぎる。
前方に、高さ50メートルはあろうかという巨大な人間の像が立っていた。
圧倒的
まさに眠気もふっとぶでかさである。
奈良の大仏が立ち上がったよりでかい。絶対。
近づいてみると、塀に囲まれた敷地の中にそれは立っていた。
そして門のところにはこんな文字が。
「越後の里 親鸞聖人 大門」
え、親鸞って・・まさかあの像が?
周りを見渡しても他に親鸞らしきものはないのでたぶんそうだろう。
少し観察してみる。
まず、でかい。
顔もでかい。
機嫌悪そう。疲れません?
あと、すごく実在しそうな顔をしている。
ここには昔は参拝?に来る人がいたらしいが、今は人の気配はまったく無く廃墟のようだ・・・
ところで、廃墟と聞けばまず侵入したくなるのが人間という生き物である。
ですよね?聖人さま。
聖人さまがうなずいたように見えたので、とにかく門をくぐって足元までいってみる。
下から見上げるとさらにでかい!まさにウルトラマンである。

しばらく敷地内を探検したあと、聖人さまと勝手にツーショットを撮ってからぼくたちは「越後の里」を後にした。
心なしか不機嫌な聖人さま
いやあいいものを見せてもらった。
あんなモノを作ろうと考えた当時の男たちの心意気に感動である。
ありがとう新潟。
親鸞聖人に勇気をもらい、ぼくたちはまた自転車にまたがった。
今日の目標は新潟市。夕方にはつくでしょう。
8月17日 朝
新潟市の海岸。
今日も良い天気である。
朝の涼しいうちに出来るだけ進んでおきたいところである。
さっさとテントをしまって出発しようとしたその時、自転車に乗ったおっさんが声をかけてきた。おはようございます。
あーーやっぱり人生はうまくいかないものである。
そのおっさんの話がとにかく長いのだ。
自転車の話からなぜか中国の話になり、日中関係について延々しゃべる。
これがまず長い。
そしてその話を収束に向かわせるどころかさらに広げてしまっているのが、隣でニコニコしながら相槌を打つU氏(臼尻4年)。
黙って聞いておけばいいのに、話が途切れるとすかさず質問。
おいおい、こんな時にまで能力発揮せんでもいいって!あ、ほらぁ次の話始まったー
そうこうしているうちにトークテーマは出身地の話からなぜか歴史の話へ。
ところが、これこそがおっさんの本領発揮だったらしく勢いはさらに加速。
もう止まらない。
こっちの気持ちなんてお構いなしである。
さらにたちの悪い事に、声が小さすぎて何をしゃべっているか全くわからない。
せめて聞こえていれば日本史の勉強になったのに。
ひとしきりしゃべり終わると気が済んだのか、
「わかりやすいでしょ?」
と言っておっさんは去っていった。
わかるもなにも、聞こえへんわ!
すでに日はかなり昇っている。
あーあ。
気を取り直して出発。
昼過ぎになんと五十嵐という地名に出会った。
まーどこもかしこも五十嵐だらけである。
五十嵐の浜、五十嵐中学校、五十嵐キリスト教会。
ヘアーサロンタケダ五十嵐店まである。
どっちやねん!
「初めて来た場所なのに、前にも来たような気がする・・・」
映画とかでよく聞くセリフ。
その意味がわかりました。
ちょっと元気が出たところで先へ進む。
今日は行けるとこまで行こう。
8月18日
新潟を出る!
今日の目標はズバリこれである。そろそろ新潟も飽きた。
午前中は快適にとばし、お昼ご飯にマクド。
旅といえばジャンクフード!
一日一ジャンク。
夕方

立ち寄ったローソンでちょいと一杯。やっぱこれですよ
うまいー
ついに。
ついにぼくたちの念願がかなった。
青森からここまで、ひたすら日本海に沿って走ってきたのにもかかわらず一度も見られなかったもの。
それは日没。
いやあきれー
どれくらいきれいかと言うと、感極まったU氏が結婚を迫ってきたほどである。
ちなみにその夜もテントで間違いは起こってません。
ほんとです。
とりあえず写真、写真。

どこかで見たような・・


良い写真とれました。
夜
晩飯を買ったスーパーで
帽子にもPOEMってかいてあります
テントでお酒
人間、気持ちいいとこうなります
人間、絶望するとこうなります
8月19日
8:17
長いながーい新潟が終わりました。実に4日かかりました。
いろいろあったな新潟。
イントゥ富山
夕方
そしてついにこの日、ぼくたちが臼尻を出たときから欲してやまなかったものに遭遇!
われらがソウルフード、餃子の王将である。
あぁハンドルが勝手に王将のほうに・・・
いらっしゃい。
王将のおもしろい所は、店舗によってメニューや味がまったく違うところである。
ましてやここは生まれて初めて足を踏み入れた富山県。
ぼくたちのワクワクが伝わるだろうか。
どれどれ。

モコモコセットにプリプリセット?
プリプリはともかく、モコモコセットからモコモコ感は全く伝わってこない。
結局二人ともラーメンセットを注文
左隅はチューリップという料理らしい。うまし
うまかった・・
生きることの意味を再確認。
富山、いいとこです。一度お試しあれ。
8月20日 朝
今日から石川県である。一瞬で終わらせよう。
地図を見るためにコンビニへ。
すると、なんとぼくの足にアブラゼミがとまった。
なんと。
木に間違えられるとは、もはや無我の境地。
そこまで連れて行ってくれるなんて、自転車ってすごい。
います。
その後
もはや恐れるものが無くなったぼくたちは石川県を爆走。
すると
「御菓子城加賀藩」という看板が!
気になったのでとにかく入城。
中には「加賀福」というどこかで聞いたような名前のお菓子が売られていた。
こしあんの中にモチ。
なんと、名前の響きだけでなく見た目まで三重県のあれにそっくりである。
試食してみると味もそっくり。
うまいので大量に食べる。幸せ。
外に出ると、駐車場の誘導をしているおじさんが声をかけてきた。
「いい帽子かぶってるね」
おじさんも帽子をかぶっていたので、ぼくはつい言ってしまった。
「あ、じゃあ交換します?」
「いいの?じゃあ、ハイ。」
まさかのってくるとは。大誤算である。
自分から言い出した手前断れず、交換する事に。
あー、あの帽子気に入ってたのに・・・

うで黒すぎ
その後、おじさんにお別れを言って城をでた。
赤ふ・・ゴホン!加賀福おいしかったです。ごちそうさま。
昼過ぎ
祝 福井
夕方
来来亭を見つけ、吸い込まれるように入店。
ネギラーメン。
もはやネギ
8月21日
11:00AM
この旅2件目の王将を発見。(=入店)
どれどれ。

手書き。親しみを覚えます。
U氏はヤングセット、ぼくはラーメンセットを注文。
ウーロン茶を缶で出されたのは初めてです。
12:00AM
目の前に最後の山道が見えている。これを越えれば滋賀県である。
「えっもう滋賀県!?楽勝やん」
ぼくたちの間にはすでに楽勝ムードが漂いまくっていた。
しかし10分後、間違いに気づく。
まず道がせまい。歩道がない。
トラックが怖い。
そしてなにより、のぼりがきつい。川汲峠がかわいく見えるほどの斜度である。
これまでの道のりで足の疲労はピークに達している。
それに加えて容赦なく照りつける太陽。
温度計には37℃の表示。見なきゃよかった・・
あーしんど。
まさか最後の最後でこんな峠が待っているとは。
どうやらぼくたちはチャリ旅を甘く見すぎていたようだ。
すいませんでした
また来年出直します・・
誰にともなくそう言ってペダルから足を離そうとしたその時、
あ・・・
やりました。ついに。
目の前に「滋賀県」の標識が!
チャリ旅12日目、とうとうぼくは故郷の土を踏んだ。
2:14PM 滋賀県到着
夕方
さて、このペースで行くと明日には家についてしまうので、今夜はパーティをしなければならない。
平和堂(アルプラ)で肉と酒とアミを買う。
そして琵琶湖岸へ移動。
久しぶりに見たが、あいかわらずでかい。
向こう岸が見えない。アマゾン川級のでかさである。
これまで琵琶湖のことをバカにしている節のあったU氏も考えを改めたようだ。
じゃ、とりあえず飛び込みますか。
ところがぼくたちの体も服も汗まみれのドロドロである。
そんなぼくたちを琵琶湖は嫌な顔一つせず受け入れてくれた。
そのへんの湖とは包容力が違う。
水温は熱すぎず温すぎず。きもちー
ああ、マザーレイク。(←びわこ)
12日分の汗を流した後、パーティをはじめた。ようするに焼肉である。
転がっている石を積んで、そこらの流木に火をつける。
以下、サバイバルの様子




8月22日 チャリ旅13日目
12時50分。大津駅到着。
いやー、長かったチャリ旅もここまでです。
思い返すと、初めから終わりまで人の優しさに支えられ、助けられっぱなしの旅でした。
人間も意外と捨てたもんじゃないのかもしれません。
研究もろくにしないで旅に出ると言ったぼくたちを笑顔で送り出してくださった実験所の宗原先生、
愛に満ち溢れた食料品を差し入れてくださったH氏、Y氏にはいくら感謝してもたりません。
おみやげ買って帰ります。
もちろん飛行機で。
さて、ぼくはここから10分も走れば自宅です。
U氏は当然、この後も1人で奈良まで走ります。ふぁいと!
駅のロータリーに奈良ナンバーの車が止まっていた気もするが、気のせいでしょう。
まさかここまで来て車に迎えに来てもらうなんて、そんな事するわけがない。
ねえU氏。
今回の旅はここで一旦ゴールということになりますが、ぼくたちの人生という名の旅はまだ始まったばかりです。
そう、死ぬまでが旅です。
それではみなさん、春に決行されるチャリ旅第二弾〜太平洋周り編〜もご期待ください。
おしまい