研究調査報告 19

?プロジェクトI (アイナメ) 独白、アイナメを語る?

文責:木村

 

無鉄砲な若僧も、幾度となく打ち寄せるリジェクトの波にもまれ、少しは世間を知るようになり、アイナメの研究をしている人、という学会での認識も少しずつ得られるようになってきたようであります。昨年(2009年)10月の魚類学会で「日本在来魚における適応的分化:その実態とエコゲノミクスへの展望」が催されましたが、そこで海産の日本在来魚の研究としてアイナメの交雑の研究を紹介してほしいというお誘いをいただくことが出来ました。

そのときのシンポジウムの内容が、このたび「月刊海洋」に特集されることになりました。この特集では、サクラマスやイトヨ、アユなど地理的な形質の分化がみられる実証研究が紹介されているだけでなく、そのような分化をもたらす遺伝的基盤の解明へむけたゲノミクスのアプローチも紹介されています。とてもよくまとまった特集だと思いますので、ぜひご覧あれ。私の稿だけ、他と明らかに浮いていて恐縮なのですが…。和文で好きな事をかけるという事で、卒論、修論で行った色々な研究を一気に放出して、いろんな妄想を語るという感じの原稿になっています。まさに「独白、アイナメを語る」です。

本稿の執筆にあたり、シンポジウムでの講演、および特集記事への掲載という貴重な機会を与えたくださった福井県立大学の小北智之先生、琉球大学の山平寿智先生には、心より感謝申し上げます。

 

日本産海産魚アイナメ属3種間で見られる交雑と生殖隔離機構

Hybridization and reproductive isolation in the three species of

Japanese greenlings (genus Hexagrammos)

 

著者: 木村幹子・宗原弘幸

出典: 月刊海洋42(6): 337-345, 2010

 

要旨: 北海道南部の海域では、亜寒帯清酒のスジアイナメと、温帯性種のクジメ・アイナメの3種のアイナメ属の分布が重複し、交雑帯が形成されている。本稿では、3種間でどのような生殖隔離機構が働いているのかについてこれまでの研究を整理し、3種の分化過程と生殖隔離の成立機構について考察する。

 

目次:

1. はじめに

2. アイナメ属魚類の分類、分布、および生態

3. アイナメ属3種でみられる交雑帯

4. アイナメ属3種間の生殖隔離機構

4.1)空間的隔離

4.2)季節的隔離

4.3)行動的隔離

4.4)雑種の生存力の低下

4.5)雑種の繁殖力の低下

5.まとめ

 

 




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