大震災を吹き飛ばせ! 臼尻飲み会withグラントスカルピン
文責:佐藤
痛い・・・足が痛い・・。
何度もはたかれて僕の足は赤く腫れ上がっていた。
函館のお仕置き部屋のような隔離環境たる臼尻で、指導教官の悪魔の笑顔におびえ、ストレスでぶくぶく太りながらも、何とか学位を取り、もう二度と戻ることはあるまいと心に誓い、逃げるように彼の地を去ってから一年。
僕はなぜか臼尻実験所で悪魔の笑顔を持つ髭の生えた男と、獄卒のごとき屈強でこれまた悪魔の笑顔を持つ男に何度も太ももをはたかれ、もだえ苦しんでいた・・・
こんにちは。臼尻を卒業したのにも関わらず、何度も記事を書かされる佐藤です(そんなに暇じゃねぇ)。さて、今回は5月のゴールデンウィークの熱がちょうど冷めた一週間後の週末に、久々にOB6人を含む総勢17人もの実験所関係者がここ臼尻に集まってわいわい騒いだので、そのレポートです。
3月11日に起こった東日本大震災。未曾有の災害は日本中に大きな衝撃を与えましたが、ある年代を臼尻実験所で過ごした人間は、とある人達の安否について気が気ではありませんでした。我々のダイビングの先生であり、夏のスノーケリング、海外調査、人によってはサンプル採集や論文、学会発表で使う写真提供など、多大なる援助をして頂いた佐藤長明さん、凡子さんご夫妻。お二人のお店であるダイビングサービスグラントスカルピンは今回の主要被災地の一つである宮城県南三陸町にあったからです。
幸いなことに、お店のスタッフさんやお二人のご家族を含めて皆さんご無事でした。しかし、当然のことながらお店は跡形もなく流されてしまいました。
被災から1ヶ月ほど経ったある日、札幌に避難した長明さんと電話で話していると、せっかく北海道に来たことだし臼尻に当時のメンバーを集めて飲まないかという話に。現在、東北から九州まで遠く離れている卒業生が集まるか難しいところではあったのですが、こんな時だからこそ久々に当時を知るメンバーを交えて、お二人とお話ししたい。電話では地震なんて無かったんじゃないかというくらい相変わらず底なしに明るかった長明さんですが、ショックを受けていないわけがない!これは強がりなんだということくらいこの名探偵佐藤はお見通しです。
飲もう。飲んで忘れよう。
宗原先生にこの話しをすると、快く了承してくれました。佐藤さん達とのつきあいが長いだけでなく、臼尻OBの阿部さんが以前、志津川ネイチャーセンターに勤めていたこと等、彼の地への思いは強いものがあったようで、今回の震災による南三陸町の大きな被害は先生の心にも大きな衝撃を与えていました。当時の傍若無人で無茶な要求ばかりしてきた様子はすっかり影を潜めていたのが電話越しからも伝わってきました。これは自分達のためにもやらなければ。僕は強い決意で佐藤さんご夫妻と縁のあるメンバーに声をかけました。
前日。
有給まで取って準備のために一足お先に現地入り。
僕にとっては1年ぶりの臼尻です。
何も変わっていないなぁ。さすがに1年くらいでは懐かしいという気持ちは起きないんだなぁ。
そんな思いもそこそこに宗原先生とご対面。
話をしてみると相変わらず元気そうで本当に良かったです。
他のOBとも合流し、久しぶりの再会に話が弾んでいた矢先、ニコニコしながらこんなことを言い出しました。
宗「現役生との交流会も兼ねてるからね。大々的な飲み会になるね。」
まてまて、話が違うぞ?
臼尻からの参加は一人だけのはず。
こっちからはそう確認したし、それを踏まえてこっちは中華料理を一人一品作るという計画を立てたのに・・・
え?17人?
そんなになるの?
宗「え?中華やるの?それならあれがいいな。魚に油をかけるの。」
うわぁ・・始まったよ・・・
めんどくせぇ・・・
やりたくねぇ・・・
そうだ。こういう人だった。
何が震災のショックだ。ぜんぜんこたえて無いじゃないか。
逆にこっちが衝撃を受けてるよ。宗原ショックだよ。
そんなこんなで我々は渋々、プランの練り直しをすることになったのでした。
翌日。
残りのOBとも合流し、準備開始。
まもなく、佐藤さん夫妻が合流。
なんというか相変わらずの様子で、震災のショックを今のところ微塵も感じさせません。
しかし、名探偵佐藤は分かっているんです。その心の闇を!
というわけで宴は始まり、話は冒頭に繋がります。
そこには僕のことを馬鹿にしながらケタケタと笑う宗原先生と、
同じく馬鹿にしながら、さらにちょっとした隙や粗相を見つけては“かわいがり”をしてくる長明さんの姿が。
・・・話が違うではないか。
いや、いままでの様子を見れば話は違わないんだけど。
もっとこう、なんていうのかな、こっちが慰める展開を想像していたのに。
こっちがいたぶられる展開は名探偵佐藤でも読めなかった。
というか、これは臼尻在籍時に何度となく行われてきた展開ではないか!
まあ、みんな元気そうで良かった。それだけだ。
赤く腫れた足を摩りながら、これで良かったんだと自分を納得させる佐藤なのでした。