ロシア調査 in カムチャツカ

文責:山崎

それは5月のこと。

「あなた,ロシア行く?」
部屋のドアを開けるや否や,本実験所ボスから発せられた第一声。

「はい,行きます」
ロシア!初の海外調査機会を逃すまいと,何も考えず本能のみで答えた私。

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8月11日〜21日の11日間,ロシアのカムチャツカでの潜水調査に参加してきました。目的はあまり調査のなされていないロシア・カムチャツカの生物相と北海道の生物相を比較すること。

調査メンバーと各人の役割は,

◎宗原先生---採集,渉外
 佐藤長明氏---撮影,採集,機材整備
 田島秀一郎氏(動物講座)---採集,査定および標本写真(最重要ワークです)
 山崎彩---採集,カムチャツカ滞在中自炊の場合は調理                      ※原文より抜粋,一部改編

上3人の仕事内容は納得できる。しかし…私の調理担当とは?しかも宗原先生より直々に嗣厨長に任命しますとメールが送られる始末。薄味派の私が意を決してみんなの胃袋を満たすこと(満足ではない)を目標に,いざ調査へ。

2年前のモントレー調査での過ちを繰り返さぬよう,月刊うすじりvol.47を熟読し,出発前の確認をぬかりなく行う。

8月11日。
誰も遅れることなく無事集合し,ウラジオストックへ出発する前に結成会を開催。
今回の調査は11日間で,「そこまで長くないから」という理由で中華料理を食べることに決定。
隊長作ビール。この後液体部分が見事半分まで復活しました!

そうこうしているうちに搭乗時刻になり,あとは飛行機に乗ってロシアに行くだけ。
のはずが,待合ロビーに隊長を呼びだす掲示が!

原因は預けた手荷物の中の水中ライト用バッテリー1個。
証明証がないと持って行けないらしい。予備のライトではあったがどうにかして持って行けないかと,長い長い交渉の末,…没収。帰りにカウンターに寄らなければならなくなってしまったが,無事出発。

夜は飲みながら預入荷物の反省と明日の予定を確認し,解散。

8月12日。
ウラジオストックからカムチャツカへ,飛行機で3時間かけて移動。

カムチャツカ空港で迎えてくださったニーナ教授(左)とその学生(中央),隊長(右)。
写真に写っている荷物は全て私たちの荷物。1人3つ+αの大荷物。
ニーナ教授とは昨年,本隊長が主催したシンポジウムでお会いしたことがあり,和やかな雰囲気で再会。と思っていたのは私だけで,先生はもう一人のニーナさんと勘違いしていたそう!!

隊長後日談「いやあ,外国人の顔は覚えるのが難しいんだよな〜」

空港から約30分かけてカムチャツカ市内へ移動。
お昼ご飯を満足に食べられなかった私たちのために,レストランでご飯をご馳走して下さいました。

先生と長明さん。
長明さんはこの後チキンと共に巻かれていたキノコを取り除く羽目に。

ここで「カーチャ」という,そばの実を茹でただけの料理も食べました。量が少なかったのか,行く前に散々聞かされていた程不味くはなかったですよ!






また,金曜日はロシアでは特別な日のようで,あちこちで結婚式が開かれていました。

便乗撮影する長明さん。ちなみに,手すりに付いているものは全て南京錠で,1カップルにつき1つ付けるそう。

この後は調査でチャーターする船「あしゅら」の船長と話をして明日の予定を確認。
この近辺の船は日本の船が多く見られました。おそらく日本から持ってこられたのでしょう。
挨拶が終わると,食料と燃料を大量に買い込み,滞在先の大学のアパートへ戻り宴会&就寝。

8月13〜17日。潜水調査期間。

 
「あしゅら」の船長(左)とニーナ教授(右)                 調査地点までの移動中シャチの群れに遭遇!10頭以上の群れでした

潜る前に,20mで2℃と脅されていましたが,いざ潜ってみると,5〜8℃。少々肌寒いですが,ここは若さとホッカイロで乗り切る。

潜水調査で比較的よく観察された種を紹介します。
   
ヒダベリイソギンチャク   オニカジカ稚魚        ホテイウオ稚魚       種不明
Metridium senile       Enophrys diceraus
     Aptocyclus ventricosus

   
エゾクサウオ         ヨコスジカジカ         セルフィンスカルピン    ツマグロカジカ
Liparis agassizii       Hemilepidotus gilberti   Nautichthys oculofasciatus Gymnocanthus herzensteini

写真はありませんでしたが他にも,イセルスやウサギアイナメ(これは本当にたくさんいた!),ケムシカジカ(卵も発見!),トゲカジカなど,日本でも見られるものもあれば初めて見るものなど,多くの種を見つけることができました。
調査日ごと(日内でも)で違うポイントに潜ることで,どういう場所にどのような生物が隠れているかを予想することができるようになり,これが一番成長できた点だと思います。

負けず嫌いな性格のおかげか,セルフィンを最初に見つけることができ,これは私の一番の成果だと思います。


最終日,下船前に記念写真。右上がニーナ教授の旦那さん:アンドリーさんでアパートから船まで,時にアルコール切れ非常時の買い出しの送迎をして下さいました。
中央右(白い服)が船長。その左がセカンド。中央左の女の子(高校生)と男の子(大学生)はニーナ教授のお孫さん。

ちなみに,カムチャツカの滞在先のアパート,お風呂はあるのにお湯が出ず,潜水調査が終わるまでお風呂に入れませんでした…。

調査終了後,隊長がお風呂に入れなかったと話したことから,ニーナ教授の別荘のサウナ付お風呂に入らせてもらえることに!!
しかし,サウナのあまりの暑さに(…でも60度)長明さんが最初に脱落。ニーナ教授に早すぎると驚かれる。

とにかく,私たち4人は久々のお風呂を各自のペースで心行くまで楽しみ,夕食と5つ星コニャックを頂きました。
そのままの状態で飛行機に乗っていたら,周りの人たちに多大なる迷惑をかけていたことでしょう…。
ニーナ教授とご家族に感謝です。素敵なお風呂をありがとうございました!

8月18日。カムチャツカで磯採集。

アバチャ湾のごろた石があるところで磯採集をする予定が,歩いても歩いても小石しかない…。
途中にある比較的大きな石をひっくり返してみても何も採集できず。
結局この日2時間かけて得られたサンプルはその辺にうちあがっていたイカナゴ1匹。

8月19日。カムチャツカからウラジオストックへ移動。


何と待合室は屋外。気持ちいい天気でした。

8月20日。自由行動の日。

1日ウラジオストックを観光できる日,のはずが,ちょっとした事件により

 「ウラジオストックまで海水を汲みに行く」

という指令が出されました。

任務,あっという間に終了。

この後は予定通り極東水族館を見学したり,街中を歩いたり,謎の腹痛によりホテルに残った長明さんのために胃薬を探したりとかなり楽しむことができました。

8月21日。日本へ帰国。

成田行き飛行機は2時25分出発。

…のはずが,到着便が遅れたのか,何と5時に出発するという。預けた荷物も全て返され,しばらく待ちぼうけ。
結局この日は保安検査場を3回も通る羽目になってしまいました(1回目は通るのが早すぎて追い出された)。
さらに,到着時刻にも狂いが生じ,その日のうちに家に帰る予定だった隊長と長明さんは東京にもう1泊しなければならなくなるハプニングが発生。

お陰で,時間に余裕ができ,打ち上げを成田空港のそば屋で盛大に行って解散。隊長は終始長明さんのiPadのゲームに夢中でした。


後日隊長より回ってきたメールによると,今回の調査は99点の出来だそうです。
調査期間中はそれ程ハプニングもなく,無事に終えることができて何よりでした。

今回の調査でお世話になった人たちはみんないい人ばかりで,ものすごく助けられました。お世話して下さった皆様に感謝です。また,調査に連れて行って下さった先生にも感謝です。ありがとうございました。



来月は,7月に行われたバイカル湖での調査レポートです。こちらもお楽しみに!!




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