カサゴ目 カジカ科
キマダラヤセカジカ Radulinopsis taranetzi Yabe & Maruyama, 2001
(撮影:阿部)

 2001年に新種記載された小型の海産カジカ(SL:3-5cm)。北海道からロシア東岸の浅海域に生息することしか知られていなかったが、ここ臼尻での最近の研究から本種がカジカ類で初めて、雌親が単独で卵保護することがわかった。砂に埋もれた石や貝殻などに卵塊を産みつけた後、それを砂で埋めて隠すという特異な産卵生態を有する。身体の模様が砂によく似る上、危険を察すると砂に潜ってしまうため、フィールドで見つけるには一苦労する。卵保護期間は2-4週間にも及び、その間、吸盤状にめくり上がった唇を卵塊にあてがい、水を吸う行動(サッキング)を頻繁に行う。卵発生が進んで胚の酸素消費量が増加すると、それと同調してサッキング頻度・時間も増加し、ふ化前などは、大半の時間をサッキングに費やす。卵捕食者(ヒトデ類)に対しては、自分の何百倍もの体重であっても、激しく攻撃して卵を守る。産卵期は5-7月だが、後尾期は2-7月までと長い。雌よりも雄が大型となり、雄による半ば強制的な交尾が10-20分間もの間続けられる。
(調査中)



サッキング中の雌。卵塊を覆っている砂をよけて撮影。
砂の隙間からふ化直前の卵が見える。




交尾中のキマダラヤセカジカ。上に乗っているのが雄。オスの下から顔を出しているのが雌。




卵保護中の雌。二枚貝の殻に産卵して卵塊を砂に埋め、
さらに自分も砂に潜るため、野外ではかなり目がなれないと発見するのは難しい。
雌の顔の下に見えるオレンジ色の塊が卵塊。




卵保護中ヒトデがやってくるとヒトデの管足に激しく噛み付いて撃退する。
写真は噛み付く直前と直後。ヒトデもたじたじ。雌のすぐ下に卵塊が隠されている。


臼尻Top