
カサゴ目 カジカ科
ニジカジカ Alcichthys alcicornis (Herzenstein,
1890)
(撮影:阿部, 04年5月)
魚屋やスーパーなどでは、“ベロ”あるいは“ベロカジカ”として店頭に並び、汁物の具として北海道ではなじみの深い海産カジカである。4-5月が産卵期で、成熟した個体が深い海域から浅場へと一斉に移動してくる。臼尻実験所の春告魚。雄は浅瀬の岩礁域に縄張りを構えた後、雌を誘って産卵させ、卵を保護する。本種は産卵直後に交尾をするという奇妙な生態を有し、そのため既交尾雌が産卵に訪れた縄張りの雄(A)は、他の雄の子を保護することになる。しかし、その雌が次の雄(B)の縄張りで産卵する時には、雄(A)を含むこれまで交尾してきた雄の子を産む。処女雌が産卵した卵塊は、交尾後雌の生殖口から漏れ出た精子によって受精する。
交尾をしても卵巣内では受精せず、胚発生がスタートするのは、産卵によって卵が海水と接した後である。この一風変わった受精様式は“体内配偶子会合”と呼ばれ、その詳しいメカニズムは本種で初めて明らかにされた。さらに、処女雌と交尾した雄の精子は、その後の複数に渡る雌の産卵に多く使われること、また、雄は処女雌の割合が多い繁殖期初期ほど大量の精子を放出することなどがわかってきた。
(調査中)

卵保護中の雄。岩の表面の黄色い粒は全て卵塊である。
この中のどれほどがこの雄の子なのだろうか。
100個体以上もの雌の卵塊をかかえる雄も少なくない。

臼尻Top
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