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平成29年(2017年)年頭のご挨拶

 新年あけましておめでとうございます。
 平成29年の年頭にあたり,北海道大学の教職員,学生・大学院生の皆さん,そして様々な形で北海道大学の活動をご支援くださっている皆さんに,新年のご挨拶を申し上げます。

 私達は,今年度4月より国立大学法人として,第3期中期目標・中期計画期間を迎えました。そして,昨年末には,平成29年度政府予算案が閣議決定されました。国立大学法人に関わる事項としては,第3期としての予算編成の骨格は,平成28年度予算によって明らかとなっていましたが,その方針に従って,まず,運営費交付金は前年度比20億円減の1兆925億円となり,これに補助金として,機能強化促進費45億円が新規に付加されました。また,科学研究費補助金は前年比11億円増の2,284億円となっています。

 さらに,個別大学に通知された予算の内訳を見ますと,昨年度ご報告したとおり,これまで文部科学省に概算要求として申請してきた経費は,一括して大学の機能強化経費とされ,各大学の機能強化としての位置づけが問われています。予算提示の内訳も個別事項ごとの提示ではなく,位置づけごとの予算づけとなっています。すなわち,もはや個別の部局の将来計画のみでの予算獲得は不可能であり,大学として知恵を出し合うことが問われます。

 本学に内示された運営費交付金は昨年度比7.69億円減の354.58億円であり,所要額で予算措置される退職手当などの減額があるものの,大学毎の評価に基づき配分される機能強化促進分と新規補助金である機能強化促進費は,運営費交付金の減額分(▲1.6%相当分)を上回る評価配分がなされ,昨年度の機能強化経費予算に加算される形で増額となっています。しかし,残念ながら,この機能強化促進分からは,一般教職員の人件費に充当することはできません。機能強化促進分の評価は昨年度に続いて良好であり,本学の来年度の機能強化活動がさらに活性化されることを期待したいと思います。

 また,平成29年度予算では,運営費交付金は,優れた実績のある機能強化の取り組みについて,評価に基づき機能強化経費から基幹経費へ移し替える「基幹経費化」の仕組みを導入した(国立大学法人全体で53億円)とあります。この「基幹経費化」は,今後の本学の課題となろうと考えます。

 さて,ここで,本学のこの1年の歩みを振り返りたいと思います。
 まず,研究推進の面では,昨年1月に創成研究機構内に「グローバルファシリティセンター」が設立されました。このセンターには,高度な研究機器や分析技術を活用した国際的な教育人材育成拠点としての役割が期待されます。産学・地域協働推進機構では,6月に北大発ベンチャー称号記授与式が挙行され,この認定制度による初めての認定企業9社にこの称号が授与されました。産業創出部門では,今年度までに11部門が設置されたほか,現在6部門が設立を検討中であり,FMI拠点を中心にすでに70名以上の企業からの研究者が研究に従事しています。さらに,COI『食と健康の達人』拠点では,中間成果発表シンポジウム「未来を見つめる」を12月に東京で開催しています。

 国際連携の面では,10月より国際本部が国際連携機構に再編され「Hokkaidoユニバーサルキャンパス・イニシアチブ」構想推進のための組織整備がなされました。HUCI事業において,基本となる4つの教育改革プランについても着実にその進展が図られました。

 最初のプランであるNITOBE教育システムについては,まず,新渡戸カレッジにおいて,同窓生の支援による新たな海外インターンシップが始まりました。文系を中心に,カレッジ生による長期留学者数も着実に伸びています。新渡戸スクールの方は,受講生も倍増され,留学生との混合によるグループ学習が成果を挙げてきています。次に,新たなGI-CoREのプラットホームとして,ソフトマターグローバルステーション,ビッグデータ・サイバーセキュリティグローバルステーション及び北極域研究グローバルステーションが4月に設置されました。そして,異分野連携による「国際大学院」群の新設については,医理工学院,国際感染症学院,国際食資源学院の3つの学院が今年4月に開設されます。そして,今年度,ラーニング・サテライトについては,年間約40科目が開講予定であり,Hokkaidoサマー・インスティテュートについては,6月1日から9月13日の期間に71科目が開講され,115名の国内外からの研究者が英語による講義を行いました。

 こうした本学の国際関係の活動をさらに飛躍させるために,国際大学協会(IAU)に依頼して,「大学国際化のための助言サービス(ISAS 2.0)」のための委員会による現地調査を10月に実施し,本学の様々な階層の国際関係事業従事者からの聞き取り調査が行われました。この委員会からの報告書は12月に届いています。この報告書では,本学のHUCI事業を,全学の構成員の参加によって活性化するための,様々な側面からの助言がなされています。この報告書の今後の活用が期待されます。

 さらに,この4年間を総括しての将来展望を述べたいと思います。
 国立大学法人北海道大学の4つの基本理念であるフロンティア精神,国際性の涵養,全人教育,実学の重視を踏まえ,「北海道大学近未来戦略150」を策定し,「世界の課題解決に貢献する北海道大学」たるべきことを目標として掲げました。そして,これまで他大学にはない本学の強みを創り上げることに意を用いてきました。毎年,日本全国から新入生を集める「北大ブランド」というべき知名度は,他大学にはない本学の強みであり,伝統の蓄積に支えられた総合入試は他大学には真似のできない選抜方法です。

 また,北大方式と呼ばれる全学教育のシステムも,戦後の本学の教養教育の伝統に支えられており,日本の大学における教養教育の一つのモデルとされています。これに加えて,新渡戸カレッジは,高い評価を受けておりますが,特にフェロー制度より始まった連合同窓会(現在は校友会エルム)との協働活動は,今後予定している運営会議での評価委員会・諮問委員会の提言を通して,大学教育のありようを変える可能性をも秘めた新たな教育の形として,今後の発展が期待されます。全国に先駆けて,海外の研究ユニット丸ごと誘致を実現した国際連携研究教育局(GI-CoRE)の制度は,本学の研究面での強みを活かし,それを創り出すものであり,そしてその研究成果をもとに融合的国際大学院を創り出す仕組みとなっています。また,COI『食と健康の達人』拠点は,産学連携を越えて,その研究成果を社会実装する試みを岩見沢市から始めています。これも,これまでの社会と大学の関わり方を大きく変えるものであると思います。それに加えて,FMI国際拠点を中心に始まっています産業創出部門の活動は,他大学に例を見ない新しい組織対組織の産学連携の形を創り上げています。そして,昨年6月に発足しました「校友会エルム」では,4月より新入生とその保護者の入会を受付け,同窓会活動のありようを刷新します。この活動も本学の強みを支えるものと期待されます。

 昨年後半は,人件費削減をはじめとする国立大学法人の財政問題に多くの時間を割き,議論を重ねてきました。冒頭に報告しましたように,運営費交付金については,今後もバランスを欠いた展開が続くものと思われます。この財政問題を本学構成員全員が理解され,早急に抜本的対策を築き,本学の強みを生かした発展を目指していただきたいと思います。

 最後になりますが,平成29年が北海道大学の将来に向けての新たな踏み出しの年となることを祈念しますとともに,教職員並びに学生・大学院生の皆さんにとって実り多い年であることを心より願い,私からの新年の挨拶とさせていただきます。


 平成29年1月4日

北海道大学総長 山口 佳三

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