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《タンパク質配列分析》
ーもくじー
◆分析の概要
◆分析項目
◆分析所要時間
◆参考文献
◆使用機器
◆試料の調製方法
◆受付場所と申込方法
◆分析データ出力例 |
通常分析 <3 ~ 300 pmol>
- サンプル量の目安は、単一ペプチド量として、分析する残基数5 ~ 20 残基の間では読みたい残基数×pmol(10 残基で10 pmol等)程度となっています。
- ただ、定量誤差もあり、サンプルの形状、純度、脱塩の程度、妨害不純物の有無などにより初期収率が低下しますので、サンプルに余裕があれば300 pmolまでの範囲内で多めに出してください。
- 20 残基以上になると、純度や配列に起因する収率の低下といったサンプル量以外の要因により成否が分かれることが多くなります。純度・量共に十分に用意をされた上で分析を申し込まれることをお勧めします。
- ペプチドの残りが数残基以下になると急激に回収率が低下します。短いペプチドのC末端を確認したい場合にも、十分量を用意をされた上で分析を申し込まれることをお勧めします。
- ゲルからPVDF膜にブロッテングするときの収率はしばしば10 %以下になることにご留意ください。
高感度分析 <0.5 ~ 10 pmol>
- PVDF膜にブロッテングしたサンプル:10 pmol(CBB染色時のマーカーとの比較で見積もったとき)以下と判断されるとき。
- 溶液状態のサンプル:5 pmol以下で高純度と判断されるとき。
- 5 残基読むためには1 pmol、15 残基読むためには3 pmol程度が目安です。通常分析では問題にならないコンタミなどにより解読が出来なくなることがあります。
サンプルはPVDF膜にブロッテングした状態(推奨)または溶液状態で、密閉容器に入れてお持ちください。
通常分析
1. PVDF膜にブロッテングしたサンプル
- サンプルを電気泳動で精製される方は、高純度の試薬で電気泳動等の操作を行ってください。試薬に含まれる不純物によりペプチドのN末が修飾されてしまう可能性があります。また、アクリルアミドゲルを自作される方は、ゲル作成後20 時間以上たってから泳動を行ってください。重合が終わっていないアクリルアミドモノマーによりN末が修飾されます。
- 定法に従いPVDF膜にブロッテングしたサンプルをPonceau S、アミドブラックまたはCBB-R250で染色し、目的のバンドを切り出してください(※当方では未確認ですが、GEヘルスケアバイオサイエンス社製 Hybond Pはペプチドシーケンスに不適という話があります)。一度に分析できる膜片の量は5x4mm片であれば3枚までです。膜由来のバックグラウンドもありますので、バンドをそれほど太く切らないほうが良いようです。
- 切り出した膜片はエッペンドルフチューブなどの密閉容器に入れ、精製水で良くボルテックスして脱塩・洗浄してください。精製水を捨てたのち、脱色液で良くボルテックスして脱色し(数回脱色液を換え、脱色液が色素で染まらなくなるまで)、脱色液を捨て、そのまま半乾きの状態でお持ち下さい。
- ニトロセルロース膜は使用することができません。銀染色を行ったサンプルも使用できません。
2. 溶液状態のサンプル
- 溶液は塩を含まない揮発性溶媒でしたら分析可能ですので、逆相系のHPLC(アセトニトリル/TFA系)で精製することをお勧めします。タンパク、ペプチド等をHPLCで分取後、必要なら濃縮してください。液量が多いとペプチド濃度が下がり、液量が少なすぎると乾燥して容器に吸着してしまいますので液量を20 ~50 μl程度にして下さい。
| 好ましい溶媒 |
| 酸類 |
酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、等 |
| アルカリ類 |
トリメチルアミン、トリエチルアミン、等 |
| 有機溶媒 |
アセトニトリル、メタノール、エタノール、等 |
| その他 |
D.I.Water |
好ましくない溶媒 |
| 不揮発性バッファー類 |
リン酸、トリス、グリシン、等 |
| アミノ基を持ったもの |
トリス、グリシン、アンモニア、アンモニア塩、アンフォライン、等 |
| 高粘度、不揮発性のもの |
グリセロール、ショ糖、等 |
| 非イオン性界面活性剤 |
Triton、Briji、Tween |
| 大量のSDS |
シーケンサーの故障の原因になります。 |
(Applied Biosystems社の説明書から転載)
※使用する試薬類はHPLCグレード以上の高純度試薬をもちいてください。
※溶媒交換に透析膜を使用すると膜自体の汚れによりサンプルが汚染される可能性があります。)
高感度分析
1. PVDF膜にブロッテングしたサンプル
膜片を入れるスペースが小さくなっていますので、分析可能な量は上記で示した膜片(5x4mm片)であれば1枚程度です。
2. 溶液状態のサンプル
溶液サンプルは、HPLCで精製して頂いたものに限ります。脱塩が完全でないサンプルは故障の原因となります。上記表にある好ましくない溶媒などが混入しないよう注意してください。
- 分子量10 万以下のペプチドの方が良い結果が得られます。分子量が大きいとエドマン分解の処理を何回か繰り返している間に内部のペプチド結合の切断が徐々に進行し、マイナーなPTHアミノ酸ピークが沢山出てきて真の配列決定が困難になります。10 残基程度までなら問題になることは少ないですが、それ以上長く読みたいときにはご留意ください。
- 大きなタンパク質の場合、ペプチドに断片化してから分析された方が良い結果が得られることがあります。
- 感染性・放射性のサンプルや、危険有害性のため特別な取り扱いが必要なサンプルは分析できませんので、ご了承ください。
- シスチン、システインはそのままでは同定出来ませんので、同定をするときは、事前にピリジルエチル化処理をして下さい。
- N末アミノ酸の修飾(アセチル化、ピログルタミル化など)されたサンプルはエドマン分解が進行しませんので配列決定はできません。修飾をはずすか、内部配列の分析を考えてください。ペプチドのデブロッキングについては、参考文献をご参照ください。
- Cys-CysなどSS結合が残っていると、その残基以降の分析が進まず極端に収率が落ちます。サンプル調製の過程で還元処理をされることをお勧めします。
- シグナルが読めないときに、N末端が修飾されているためか、サンプル量が単に少ないためなのかは、確実にタンパク量を見積もることで判断できます。余裕があればアミノ酸組成分析などを行ってください。
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