最近の国立大学は,大学における学術研究の高度化・多様化に伴い,高機能で複雑な最先端の実験機器や設備の導入が図られています。また,理工系の実験室で使用する人体に有害な化学物質等の種類も非常に多くなってきていることから,より一層安全で快適な教育研究環境づくりが求められています。
 しかし,本学における研究施設はといえば,安全に配慮した研究棟の新築もかなり進んできてはいますが,一部では,未だに老朽化・狭隘化した研究棟も残っており,その中で「ヒヤリ・ハット」しながら実験を行っているというケースも少なくないと思われます。
 本学のような先進的研究を行っている総合大学には,化学物質を扱っている実験室のみならず,クレーン,ボイラー,圧力容器,工作機械,高電圧機器,放射線機器など,様々な作業危険性のある設備を有している実験室がかなりあるため,安全で衛生的な教育研究環境の構築は,理・工・医・農学系等の研究分野における共通の課題といえます。  
  今後,実験室等の研究環境を改善し,より安全で,安心して研究に専念できる快適な教育研究環境を整備することは,学生を含めた本学の構成員にとって,研究による疲労やストレスを軽くすることにもつながり,皆さんの健康の保持に寄与するとともに,ひいては事故の防止にも大いに役立つものと考えられます。
 例えば,環境整備にあたっては次のようなことが大切ではないでしょうか。
    ・実験室の整理・整頓
    ・定期的な実験室の点検
    ・使用化学物質の整理,化学物質の一元的な管理体制の構築
    ・局所排気装置の設置
    ・空調設備の設置
    ・排ガス処理装置の設置
    ・休憩スペースの設置
    ・実験室内の2箇所出入り口及び通路幅の確保
    ・高圧ガスボンベの貯蔵方法の改善や転倒防止対策
 来年4月から北海道大学は法人化され,違反すれば罰則のある労働安全衛生法が教職員に適用されることになります。この機会に,研究を行っていくうえで最も重要なことである衛生的で安全な教育研究環境を構築するため,実験室の安全衛生管理にもっと関心を持ち,皆さん自身にできることが何かを考えてみませんか。

安全対策専門委員会        
「安全教育・安全マニュアル班」