私の海外ボランティア体験記
経済学部4年 木村 恵理
 私がインドへボランティアに行ったのは3年生の1月の初めから3月末迄である。大学に入った頃から漠然と仕事で国際協力をしてみたいと思っていた私は,ちょうど就職活動が始まり,進路を決めなければいけない時期に,一度自分の目指している道が自分に合っているのか,やりがいは感じられるのかを知りたく,皆が就職活動真っ只中の時期にインドのNGOに申し込み,ボランティアへ行ったのである。
 それまでに海外を何カ国か経験してきた自分にとって,最初はそれほどインドに対しての恐怖感や不安はなかった。しかし,インドは私にとってボランティア活動以前に生活そのものが毎日サバイバルで,いろいろな壁が私の前に立ちはだかってきた。生活・言葉・文化全てが挑戦の連続であった。毎日1時間しかでない水道を毎朝早起きして桶に貯める。ガスもテレビもない。トイレは毎回水を汲んで流す。蚊と戦う。顔は蚊で真っ赤に腫れ上がる。インド英語のなまりによる意思疎通の困難さ。これは日本に留まっていては絶対に得られない経験でもあり,またこういった生活をする中でいかに自分が恵まれた環境で育ってきたかが初めて身にしみて実感することができた。
 仕事は主にフィールドワークで,私を受け入れてくれたNGOが手がけているプロジェクトは,例えば学校教育の環境を整えたり,水のパイプラインを整えたりする作業などである。私は,その中でも学校教育にとても関心があったので学校を中心に活動していた。下に載せてある写真は私が周っていた学校の一つである。私は彼らに日本の歌を紹介したり,折り紙を教えたり,時にはダンスを一緒にしたりと,とても貴重な経験をすることができた。ここで私は彼らに残せるものは何かを考え,彼らに今足りない教育は何かを考えたときに,あまりにも低い計算能力に気づいたのである。先生不足のために,小学校から中学生くらいまでの子が一緒になって勉強する。すると,下のレベルに合わせて授業をしなければいけないため,中学生の年齢になっても掛け算割り算はおろか,足し算引き算もミスが多いことに気づいた。そこで,私は今日本でとても効果をあげている百マス計算を教えて導入してみようと思った。NGOのリーダーに提案し,日本で効果がありかつ楽しくできるということを伝え,ついに導入されたのである。これは今でも他の村々にも広がり,子供たちも楽しそうにしている姿を見て胸がいっぱいになったのは今でも忘れられない。

紙面だけでは伝わりきらない部分もたくさんあって遺憾だが,一つだけいえるのは学生の間にこうした海外でボランティアという貴重な経験ができなければ,私の人生はうすっぺらなものになっていただろうということ。価値観・考え方において全てが精神的に成長することができた。また,進路においても念願のJICA職員として今年から働けることになり,国際協力という形で仕事ができることになり,精一杯この経験を胸に頑張っていきたいと思う。
 木村恵理さんは,財団法人青少年交流振興協会が主催するボランティア文化フェスティバルの学生によるボランティア体験談の発表で,北海道・東北地域ブロックの地区代表として選ばれ,12月19日に開催された全国発表会に出場されました。