札幌市立豊成養護学校
自立活動教・作業療法士
八百 路香

北大生のみなさん,こんにちは。私は昨年3月に5年間通い続けた北大を卒業し,現在は重度・重複障害のある子どもが通学する肢体不自由養護学校に教員として勤務しています。もともと医療技術短期大学部作業療法科(3年制)の出身ですがひょんなことから教育分野に興味を持ち,卒業後すぐに教育学部へ3年次編入しました。
医療職でありながら教育現場で働くというあまりメジャーではない生き方をしていますが,今は学校で求められている自分の専門性にとてもやりがいを感じています。

現在の学校には昨年の4月から勤めています。教育学部はあくまでも作業療法士としての自分を磨く通過点と考えていたので,卒業後は普通の作業療法士として病院か子どもの通園施設に就職しようと考えていました。しかし,卒業論文で肢体不自由児の療育についてとりあげたことや,在学中に自立活動教諭(特殊教育諸学校に組まれている自立活動という時間を担当する教員)の免許を取ったことなどから,一気に養護学校への思いがヒートアップし,求人票を手放して自分から動くことを決めました。ちょうどその頃,お世話になっていた院生の方が養護学校の理学療法士であったため,偶然にも姉妹校で作業療法士の産休・育休代理を募集していることを知り,トントン拍子に話が進みました。

養護学校での作業療法士は,学校のカリキュラムの中で「訓練」と呼ばれる部分を理学療法士とともに担当します。そして一人一人の体の状態や発達段階を見ながら基本動作や日常生活動作を練習したり,車椅子や装具を合わせたりしています。もちろんそれだけではなく,その子どもの生活を支えるための援助全般に関わった仕事をしています。学校の中で教員と一緒に関わりながら仕事をしていると,病院や施設とは違い一日を通して子どもの体調や生活を見ることが出来るのが魅力だと感じます。

さて,代替作業療法士の任期が昨年8月で切れ,学校で働けるのもここまでか!と思っていたのですが,自立活動教諭の免許を持っていたことが幸いし,2学期から期限付き教員として同じ学校に残ることが出来ました。とても紛らわしいのですが,今は教員という立場で学校にいます。職種が違うため戸惑うことも多々ありましたが,子どもの反応を見ながら発達を促していき,持っている能力を引き出していくという点においてはそう変わらないものだと感じています。授業をやる中で,子どもに合わせた補助具を作ったり姿勢づくりをしたりという自分の持てる専門性を少しずつ発揮できるようにもなってきました。

今日では医療と教育の連携が叫ばれていますが,作業療法士として学校に入って行くことはとても難しいのが現状です。養護学校でも療法士を配置しているところはまだまだ少ないのです。私が自立活動教諭の免許を取得したのは,作業療法士として学校で働く手段が他になかったからでもあります。今後,教育に関わる医療職の立場がどうなるのか,自分はどういった役割を果たしていったらよいのか…わからないことだらけですが,職種にとらわれず自分だから出来ることを続けていくつもりです。

気がつけばほとんど大学時代の話が出来ませんでしたが,5年間の学生生活で残ったものは今でも一緒に遊べる友達がいることと,アルバイトにしてもボランティアにしても無駄な経験が無かったと思えることです。どうか皆さんもたくさんの思い出と友人を作って有意義な大学生活を送ってください。