南極やグリーンランドでは深さ2,000〜3,000メートル級のボーリング(氷床掘削)が進められており,掘削される深層氷コア(円柱状の氷)は,過去数十万年にわたる地球環境の歴史を記録する貴重な情報源となっています。しかし,さまざまな環境変動の指標として広く用いられている化学物質が氷床中でいかなる化学状態で存在するのかという基本的なことがわかっていないため,氷コアから得られる情報の信頼性が問われています。そこで,氷の内部に存在する大きさ数ミクロンの微小な粒子にレーザー光を照射して,ラマンスペクトル※を測定し,主要な化学物質が硫酸塩をはじめとする各種塩の微粒子として存在することをつきとめました。この結果は,太古の大気中に存在したエアロゾル※※と気候変動の関係を知る重要な手がかりを与えるものです。 |
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