平成１９年４月に入学された２，５００名の新入生諸君に対し，北海道大学への入学を心より歓迎いたします。大学受験のための勉強から解放され，これからの大学生活へ大きな期待と希望を抱き，胸を膨らませている人も多いと思います。 　北海道大学は，１２の学部と，専門職大学院である法科大学院，会計専門職大学院および公共政策大学院を含む１６の研究科・学院等に加えて多くの研究所，研究センターから成り立っていて，我が国の基幹総合大学の一つであり，研究主導の大学院重点大学であります。 　諸君はこれから，１年あるいは１年半の間，全学教育（教養教育）を受講することになります。この期間に，教養科目と基礎科目を学習することになるわけですが，授業科目によっては高校時代の延長のような印象を受けることがあるかもしれません。また，ある人は，早く専門へ進み，専門科目を受けたい衝動にかられるかもしれません。しかし，実際には，この全学教育は，本学としても力を入れていて，非常に重要であることを理解していただきたいと思います。本学の教養教育は，北海道大学を卒業した者が当然身につけておくべき必須の科目が準備されていることを忘れないでほしいと思います。 　また，医，歯，獣医それに薬学部に所属の学生諸君の多くは，卒業時にそれぞれの国家試験を受け，その資格をもとに社会人として巣立って行くことになりますが，その他の学部の諸君は，学部卒業後あるいは大学院修了後，企業，国家・地方公務員等々，色々な職業に就くことになります。就職する場合，それぞれ試験があり，教養試験や一部は専門試験も加わります。また，面接試験・小論文等も当然あります。教養試験では，全学教育に関する問題が出題されることになりますし，また大学受験で得た知識も大いに役立ちます。これからの一年間を無駄にしないでいただきたいものです。また，本学では外国語能力向上を目的としてＣＡＬＬシステムを導入していて，これは，自分自身でこのシステムを活用することにより学べるようになっています。国際化がますます進む中で，外国文化を理解することと同時に，外国人とのコミュニケーション能力を高めることが求められます。今までは受験目的の勉学であったでしょうが，これからは諸君の将来の目標を達成するために何が必要か，何を学ぶべきかを自らが判断しなければなりません。また，自らの将来を決めるためには，総合大学のメリットを生かして，学部を越えた友人との語らい，部活での先輩との交流も大きな役割を果たすでしょうし，「キャリアセンター」を積極的に活用することも有益でしょう。また，インターンシップＡ，Ｂも設けていますので，それを受講することも可能です。特に，国家公務員や地方公務員を目指す諸君や外交官や国際連合等の国際機関等を目指す諸君は，学部の４年間を計画的に過ごさなければなりません。このようなことから，キャリア形成に係る「キャリアデザイン」の科目を，多くの学生諸君が受講されることを期待しています。 諸君にとっては，入学後の数ヶ月間は，高等学校との違いに面食らうことも多くあろうと思います。履修科目を決定すること等，すべて自ら決めなければなりません。「学生便覧」，「全学教育科目の手引き」，「シラバス」，「学生生活の案内」など入学時に配付されたもの全てをじっくり読んでください。特に，平成１８年度からＧＰＡ制度が本格的に導入されていますし，各学部によって差はあるものの取得単位の上限が設定されるなど，単位取得に係る内容が大幅に変更されましたので，充分注意してください。また，理解できないこと，判断ができないこと，自らの悩み事などある場合は「クラス担任」の先生方に相談してください。クラス担任の先生方はそれぞれ「オフィス・アワー」を設けていて，その時間帯には必ず会うことが出来るようになっています。遠慮なく相談していただきたいものです。ただし，オフィス・アワー以外で会いたい場合には，あらかじめ電話をしてアポイントメントを取っておくことが礼儀です。また，健康についての心配事は「保健管理センター」を，その他の相談事は「学生相談室」を積極的に利用していただきたいと思います。私どもは，諸君の健康や悩み事それに修学上の問題に対して万全の体制を取っているつもりです。 　また，学生諸君に対する表彰制度を平成１７年度から格段に充実いたしました。全学教育一年間の成績優秀者約９０名に対し「新渡戸賞」が副賞とともに贈られますし，課外活動の成果に対しては「北大えるむ賞」に加え「北大ペンハロー賞」を授与しています。大学として諸君の努力の成果に対して積極的に顕彰していくよう努力していきます。 　私どもは，諸君をｇｅｎｔｌｅｍｅｎあるいはｌａｄｉｅｓとして対応いたします。諸君もそれにふさわしい行動を取ってもらいたいものです。社会性を身に付け，社会のルールを守ってほしいものですし，同時に健全な批判力も身に付けてほしいものです。 　これからの学部での４年間あるいは６年間は，瞬く間に過ぎていきます。悔いのない学部生活を送っていただきたいと思いますし，自分の将来の目標を早く見い出し，それにまい進してもらいたいものです。また同時に生涯の友となるような多くの友人にも恵まれてほしいものです。