いま頃の世の中では、「ホメて育てる」のが主流になってしまったとか…。
へたに叱咤すると、獅子の子のようにはい上がるどころか、沈みっぱなしになるから要注意だと、上司が読むビジネス書にもきっとそう書いてあるに違いない。
さて、今回の「あっぱれ」に登場願ったのは、数年前「お前には論文を書く力がない」と指導教員に叱咤激励されて、「何くそっ」と、そこから文章を書くための努力を積み重ね、いまでは、論文コンテストなどで数え切れないほどの受賞歴を持つほどになった大学院医学研究科社会医学専攻博士課程3年の古本尚樹(ふるもとなおき)さんである。
古本さんは、過去に「第19回土光杯全日本学生弁論大会フジテレビ特別賞」などを受賞したことが評価され、本学の「北大えるむ賞」(平成15年度)も受賞しているが、今回は、山形大学理学部数理科学科が主催している「第2回数学エッセイコンテスト2007」において、最高賞の「ピタゴラス大賞」を受賞した。
応募作品66点の中から選ばれた古本さんの作品は、「数学と疾病予防│生涯教育の観点も考慮して」。古本さんが所属する医療システム学研究室では、北海道各地を回りながら「地域医療セミナー」を開催、地域住民へ痴呆症、認知症予防のための算数(数学)を利用した健康教室を実施しており、予防医療の一環でもあるこの教室の活動を通じて、数学を見つめ直したことなどをエッセイに盛り込んだ。
古本さんは、「私達が数学への見方を変えることで、させられる数学から、楽しめる数学へと替わっていくのが目標です。数学を通じて地域コミュニティの強化(人間関係の希薄化を防止)や生涯教育への利用などを提言しました。久しぶりに最上位の賞をいただけることに感無量です。」と喜んでいる。最早「筆の達人」と化した古本さんのますますの活躍を期待したい。 |