■はじめに
今年2008年のビッグイベントといえば洞爺湖サミットである。全国でこのサミットに向けての活動が活発化してきているが、北大でもその流れがある。その中の一つに「国際学生サミットUNI.SUMMIT2008@北海道大学!!」というものがあり、私が実行委員長を務めている。これは学生主体のサミットであり、「学生時代においてできる事は無限大。やりたいことがあれば、一歩踏み出す勇気があれば、なんでもできる」という志のもと、10名を超えるメンバーが集結した。そのことをサミットを通して発信し、受動的な学生に自発的な行動を起こすことができるよう、アシストしていく。そのサミットの一環としてこの「ロボットフィールドプロデュース」は生まれたのだ。
■ロボットフィールドプロデュース
車は道路という環境(フィールド)があるからこそ走れる。飛行機は空港という環境があるからこそ空を飛べる。では「モノ創り」という観点からロボットを見たときに、一体どのようなフィールドが必要なのであろうか。空前のロボットブームである現在、次世代型ロボットが数多く発表されると同時に小型のホビーロボットが普及し始めた。ゆえに全国的なロボットコンテストの注目度も上がってきているようだ。私は小さいころよりロボット製作を夢見る
少年であったが実際札幌では関東関西より「ロボット色」がとても薄かった。東京では秋葉原、大阪では電電タウンなど電子街と呼ばれる場
所があり様々なロボットパーツを手に入れることが可能である。札幌ではプラモデル屋が限界で、通信販売など知らない私にはとても不満であった。そして現在、札幌でもチラホラとロボットパーツを扱う店は増えてきたようだが、それはロボットを自力で作るためのフィールドとしては不十分である。であるならば、そのフィールドを私の手で作れないだろうか?作るとしたならば、一体何をどうすればいいのだろうか?広報?工作教室?ロボットコンテスト?いやいや、それら全てを含めた一貫した流れこそがフィールドである。2007年夏に企画開始されたロボットフィールドプロデュースはロボット製作とロボットコンテストの「独自」企画を併せたオリジナルフィールドの展開を目指す事となった。
当日は新聞で呼びかけたこともあり、2回の開催で28組もの親子に参加していただいた。タミヤパーツに囲まれて目をきらきらさせる子供達、それを不安そうに見つめる親御さん。我々の予想とは違って内容はかなりスムーズに進んだようだ。ベースを作るあたりまでは大差が無かったが、開催場所である博物館でのボランティアスタッフによる古生物や現生物の骨格標本に関するプレゼンにより、子供達のロボットには個性が出始めた。鍬形のようにモノをつかむタイプをしたもの、また、大型恐竜のように首をもたげてモノをくわえるタイプのもの。子供の創造力は凄いと実感した瞬間であった。そして後半戦では実際にコンテスト作りへと移る。各々が用意した「社会科の教科書」から使えそうなキーワードを抽出し、それをストーリーに仕立ててコンテストにまとめる。自分達で作ったコンテストに子供達は熱中した。思うようにロボットが動かなくてロボットに怒りをぶつける選手もいたが、その修理する指先にはモノへの愛情と情熱がこもっていた。荒っぽく工具でかき回すのではなく、愚痴を言いながらも丁寧にネジをしめている。この定量的に評価できない「何か」を心の中に生む力をロボットは持っているに違いない。
今回参加してくれた小学生は「ロボットはゼロから自分で作れる」という事を知ってもらえただけでも収穫である。これをもっと広め、継続し、モノを愛し大切にする心を育てて生きたいと私は願う。自分のものを大切にすることを学んだ人は、人のモノを思いやることも同時に学んでいるのです。 |