北部食堂。「北食(ほくしょく)」と呼ばれ、いつも学生たちで賑わっている。お昼時ともなれば、広い食堂にも入りきらないほどの人、人、人。席に座れないこともしばしばだ。そんな北食を陰ながら支えているのが、生協の職員さんたちである。食堂を利用したことのある人ならだれもが、学生たちの洪水にも負けず、元気よく動き回る食堂のスタッフを目にしたことがあるのではないだろうか。今回は、私たちにとって「北食のお母さん」とも言える職員の方々にインタビューを行うことで、食堂の役割、学生の食生活の変化、職員さんの心遣いなど、普段聞くことのできない北食の裏側に迫ることができた。 今回、お話を伺ったのは、ベテランのお二人、鶴田さん(店長)と杉浦さんだ。お二人の考える北食の役割とは「偏りがちな北大生の栄養を少しでも補う」ことだそうだ。そのために、ホットケースやサラダバーなど、手軽に不足しがちな栄養を取ることができるような工夫がなされている。一人暮らしの多い北大で、朝食と夕食ではとりきれない栄養素を、昼食に一品加えることで気軽に補うことができるのだ。 しかし、そんな北食に、近年変化が起きている。まず、ご飯を持参する学生の増加が挙げられる。節約のためか、自宅からご飯を持ってきて、おかずだけを購入していく学生が増えている。ときには、「カレーのルーだけ売ってください。」と言われることもあるが、残念ながら、「ルーだけ」のリクエストには応えられないそうだ。また、一人で食事をする学生の増加も、近年顕著になってきた。これには鶴田さんも懸念を示した。一人で食事をすると友達と一緒に食事をする時に比べて、品数が減り、栄養が偏りやすいそうだ。世の中の孤食傾向は、北大の中にも広まりつつあるようだ。 次に、日頃どんなことを考えながら配膳を行っているのか尋ねてみた。すると、すぐに、「早く」「正確に」「優しく」との答えが返ってきた。お昼時の混雑時には、とにかくスピードが求められる。しかし、学食のメニューは、すべてグラム数がきっちりと定められていて、杉浦さんたちはそれらを覚え、不平等のないように正確に盛りつけているのである。そして、忙しいからといって雑な対応になってしまうことのないように、常に様々な方向に頭を働かせながら配膳を行わなければならないのである。 そんな職員さんたちのささやかな喜びは、いつも利用してくれる顔見知りの学生との会話や、「おいしい」の一言だそうである。忙しい時でなければ、遠慮せずにどんどん話しかけてほしいとのことだ。また、学生に向けて、「野菜をたくさん食べるようにしてほしい。あと、注文するときは元気よく言ってね。」と笑顔で話してくれた。 「毎日北食を訪れるたくさんの学生たちが、楽しく、健康的に食事をしてくれたら。」そんな事を願いながら、北食のお母さんは、今日もカレーを盛り付けるのである。 |
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![]() 明るい鶴田店長と杉浦さん |
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