このトリオになったきっかけは。
長 崎
もともとは別のバンドで活動していたのですが、工藤の「3人でやったら面白そうだ」の一言で始まりました。
工 藤
ジャズではやりたい音楽に合わせてバンド構成等を替えていくのですが、3人はライブを重ねるうちに、「アレ、何かイイぞ」と。それから2年間続いてます。
大久保
実は、僕と長崎は小、中、高、大と同じ学校なんですよ!
不思議な縁ですね…。そんな3人は、今年の夏、SCJ・パークジャズライブに参加なさいました。事前の音源審査を勝ち抜いて、ホワイトロックで行われるファイナリスト(10組)になりましたね。優勝者にはなんとトロントでの出場権と、渡航費100万円(限度額)が与えられる。
工 藤
最初は賞の規模があまりにも大きすぎて、自分たちとは関係のないこと、と思っていました。しかし、ファイナルの10組に残ったときは、さすがに(優勝を)狙いましたよ。(笑)
コンテスト当日の演奏は頭から2番目の登場でした。
工 藤
正直、萎えました。コンテストは6時間以上に及ぶ長丁場だったので、審査の段階で僕らの演奏は忘れられているだろう…と。
しかし、結果は見事優勝。そのときの気分は。
大久保
何かもう、訳が分からなかった。(笑)
長 崎
飛び上がりましたよ。
コンテストではどんな曲を。
工 藤
3曲のうち2曲は僕のオリジナルです。スタンダード(ジャズセッションでよく演奏されるおなじみの曲)を僕ららしく「こわす」こともできたんですが、太郎さんがオリジナルを推してくれて。
大久保
工藤はいい曲書くんですよ!けど演奏の出来は、ファイナルより最初に演奏したグランドホテルでの方が良かったよね。
長 崎
たしかにあっちのほうが良かったかも(笑)
なるほど。その瞬間の微妙な気持ちの変化が反映されるんでしょうか。興味深いですね。
トロントで楽しみにしていることは。
工 藤
外国人ばかりを相手に演奏するのは初めてなので、リアクションが楽しみですね。
長 崎
純粋に、カナダが楽しみです。海外は初めてなんで。
大久保
ナイアガラの滝って、カナダ側からのほうがきれいらしいんですよ。一度行ってみたいですね。
みなさんは大学で初めて本格的なジャズを始められたそうですが、他の音楽と比べてジャズの魅力は。
工 藤
ある一定の決め事(コード進行)の中で自由に演奏できるところでしょうか。
長 崎
その中で自分がどこまでやれるのか…ってね。
いわゆるアドリブなんかもそれなんですね。
大久保
そう。ただ、僕たちはジャズをやっているという意識はないんですよ。あくまで3人は個々の“音楽”をやっている。たまたまそれがJAZZに分類されるだけであって。
個々の融合、ですね。
大久保
最近になって、バンドのカラーのようなものが出てきたと思います。
工 藤
僕らの演奏には「爆発力」があります。伝統にとらわれず、様々な音楽からの影響を体言できているのが強みなんだと思います。
将来は音楽とどうつきあっていくのでしょうか。
工 藤
音楽は一生やっていると思いますよ。
大久保
トラディショナルなジャズの範ちゅうにとらわれずにね。それこそ、他の音楽をやっているかも。
長 崎
僕はJAZZの、その場でその瞬間の音楽を作り上げるというところが好きなんです。突然手を止めてみたり、途中からいきなり入ったり。突飛なアドリブも楽しいですよ。(笑)。だから大学を卒業してもJAZZバンドは続けようと思っています。
最後に、意気込みを聞かせてください。
工 藤
「札幌にこんな音楽をやっているバンドがいるんだぞ!」と、世界に発信できたらいいと思います。
長 工藤が真面目なコメントしちゃったしなあ。(笑)
まあ、僕は人生初めての海外旅行を楽しんできますよ。
大久保
メープルシロップ買ってきます!
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ありのままの3人を引き出せるか不安だったが、ひとたび音楽の話になると、そのアツい思いが自然と溢れ出たようだった。きっと普段から音楽が頭にあり、仲間と談義(酒を交わしながら?)しているのではないか。
リーダーの工藤さんからは、「英語から離れて久しいのでMCが心配」と、多くの北大生が親近感を覚えるであろうコメントも聞けた。
やっぱり音楽が好きなんですね、と問うたときの3人の表情の輝きはトロントでの躍動を確信させた。この小さな記事が、今まさに活躍のフィールドを世界に広げようとしている3人の貴重な記録になればいいと思う。 |