2010年10月6日、私たちの研究室では全員がパソコンの前に座り、ドキドキ、わくわくしながらノーベル化学賞の発表の瞬間を待っていました。当研究室の恒例行事です。いよいよ発表の瞬間、まずはヘック先生が呼ばれ、次に根岸先生が呼ばれました。この時、受賞の期待から研究室のボルテージが上がったのは今でも覚えています。
すると、「きたー!」一人の学生が叫びました。織田裕二ではありません。それに呼応するように「やった!」「すごい!」などの歓声が研究室を包みました。鈴木章先生が受賞されたのです。この瞬間、全員がスタンディングオベーションで鈴木先生の受賞を喜び合いました。
また、同じ研究棟の他研究室からも学生や先生方がお祝いに駆けつけてくださいました。そうこうしているうちに記者の方が訪ねてきたり、当日は取材の電話が鳴りやみませんでした。改めてノーベル賞受賞の偉大さを認識し、このような伝統のある研究室で研究できることに喜びを感じました。
10月25日、当研究室の学生と鈴木先生との会談の機会を幸運なことにいただきました。鈴木先生は分単位のスケジュールということでしたので、時間こそ短かったものの学生が思い思いの質問を先生にしました。特に印象に残っていたのが、研究に対する取り組み方についての質問で、鈴木先生はこう言いました。
「重箱の隅をつつくような研究はしないで、どんな分野でもよいから新しいことに挑戦しなさい」
私はその言葉を聞いた時、先生の研究に対する情熱のようなものを感じました。また、新しいことに挑戦することは、これからの人生何をするにしても大切なことだと思いました。
ここから私たちの研究室での生活についてお話したいと思います。私たちの研究室は、総合化学院に所属しており、有機元素化学研究室として、総勢23名で、伊藤教授、石山准教授、山本助教の指導のもと「触媒反応を利用した有機ホウ素化合物の効率的合成」と「有機ホウ素化合物の触媒反応」を研究しています。毎朝10時ごろに登校し、それぞれのテーマについて研究しています。さまざまな実験器具を駆使し、新たな反応の開発を目指しています。また、週に1回、有機金属化学に関する論文を紹介する雑誌会や勉強会もしています。ソフトボール大会、ジンパ、鍋party、お好み焼きparty、天ぷらpartyなどなど勉強以外の行事も最低月1回開催され、みんなお酒に呑まれています。ちなみに今年のソフトボール大会では、見事優勝というすばらしい結果を残すことができました。みんなの練習の成果、チームワークが優勝のカギになったことでしょう。このように研究室では研究ばかりでなく、寝食をともにすることで絆でつながった仲間、いいえ、familyができます。学部の1、2、3年次は研究室のイメージがあまりわかないと思います。研究室って忙しいんじゃないのと思っている人もいると思います。実際、研究室は忙しいし、時間の制約が学部に比べて大きくなることは確かです。しかし、私の場合、ラグビー部での活動もしていましたし、アルバイトもしていました。このように研究室に入ると毎日が充実した生活が待っています。
もし、私たちの研究室に興味があるという方はぜひ一度研究室に来てみてください。私たちと一緒に新しいケミストリーを作っていきましょう!
大学院総合化学院総合化学専攻
(修士・1年)開 翔太郎