季節はずれのサークル物語

氷上の格闘家集団 スケート部


深夜に近い21時半を過ぎているにもかかわらず、
車から降りるとすごい轟音が聞こえてきた。ウォー、ドンドコドドーン!

 昨年の12月17日、豊平区・月寒にある屋内スケートリンクでは、前週末から全国七大学総合体育大会のアイスホッケー競技が行われていた。本学スケート部は、前日、大阪大学との全勝同士の戦いを制し、見事優勝を手中にした。最終戦(対京都大学)は、これまで試合に出られなかった4年生中心の編成で挑んだ。ベンチも応援席も引退試合の盛り上げに一役買った。冷温もろともせず、応援団の泥臭い応援が繰り広げられ、友人やOBたちが緑色のメガホンを精一杯に振った。


 後日、新主将となった大熊成地さん(工学・4年)に話を聞いた。
 「アイスホッケーの魅力は、1対1のぶつかりあいとスピード感ですね。ボディコンタクトの瞬
間は、(痛そうな)見た目とは裏腹、実はすごく快感なんです!」
 帯広出身の大熊さんは、4才の時からスケート靴を履いた。スケーティングが命なので、他の競技に比べて経験差が実力差に結びつく世界だ。大熊さんは、「氷上の貴公子」と言われんばかりの実力でチームを引っ張るが、実はスケート部員の大半は未経験者が占めている。
 この3月、水産学部を卒業した佐藤雅朗さんは山形県の出身だが、父親の転勤で中学時代は札幌で野球をやっていた。北大に入学するや否や、中学時代の先輩は有無を言わさず、野球のスパイクから未経験のスケート靴に履き替えされたという。


 室内リンクを専用使用すると高額な使用料をとられるので、チーム練習は週2回、しかも1回9
0分間の練習に留まる。幸い札幌市内のリンクは通年利用できるので、初心者の学生たちは足繁く通い個人練習を重ねた。
 通常、試合のチーム構成は、キーパーを除くと5人×3セット編成となる。例年15人のレギュラー枠は、最初に10人ほどの経験者が奪い、残りの5人枠を30人の未経験者が争う熾烈な戦いとなる。試合に出られる見込みがなければ早めに退部…、と思いきや、スケート部の学生は辞めずに最後の引退試合にかける。リンク代に防具代、他のサークルに比べて数倍の個人負担がかかるのに、それでも学生たちは辞めない。
 七大戦では、選手のお父さんかお祖父ちゃんが応援にきていると誤解するほど、たくさんのOBたちが、札幌市内から、道内から、そして遠く名古屋などから駆け付けてくれていた。他大学での七大戦では、地元のOBたちの歓迎を受ける。年1回のOB戦ではOBと現役の交流を深め、酔っぱらいの熱い檄と手厚いご芳志を受ける。リンク代や遠征費はほぼOBの支援だ。
 スケート部の来期目標は、1月のインカレ出場。そのためには10月のリーグ戦で上位3チームに入ることが条件だ。フィギュアスケートもスピードスケートも含めて「スケート部」とした、昔から
の伝統を今も守り続けている。退部者が少ない理由は「純粋に練習の時間が楽しいから」に落ち着いた。しかし、代々の「マネージャーがかわいらしい」との噂もある。「氷上の格闘家」による熾烈なマドンナ争いも、また見物かもしれない。(K)

初心者の中でもボクはけっこう試合に出られたほうだと思います。スケートはヨチヨチ歩きから始めましたが練習は本当に楽しかった。今度はOBとして後輩たちを支えないといけませんね♪

佐藤雅朗さん (H22年度 水産学部卒業)

Photo Gallery No.1

「OBとして後輩を支えるぜ!」

総合入試導入はちょっと心配しています。学部移行点を争うために勉強する学生が増えるから部活動をやらなくなるかもしれない。ウチは週2回の練習だけだし、屋内リンクは寒くないので、ぜひ入部してほしいですね。

スケート部新主将 大熊成地さん(工学・4年)


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