「ミスさっぽろ」になるまで

松 浦 麗 子


 北海道の大自然と北大のキャンパスに憧れて大阪から札幌に移り住んではや4年。入学前に中央ローンを流れる川の名前がサクシュコトニ川であることを知っていた人はそう多くはないでしょう。赤本を買っては学校紹介ばかり何度も読んでいた私でした。まさか自分が4年後に「ミスさっぽろ」なんてものになろうとは……。人生何が起こるか分からないものです。教養時代はよく道内を廻り,2年間で道北を除くほぼ全域を,ざっとではありますが制覇しました。初めて触れる大自然にとても感動したものでした。
 でも,大阪出身であるため,友人といえばみんな北大生,バイト先の居酒屋も,お客さんも含めて北大関係者ばかり,当時は霜星寮に住んでいたので朝から晩まで北大北大……。それはそれで楽しかったのですが,自分の世界の狭さに嫌気がさしはじめ,なんとか視野を広くするように,外へ外へと目が向きはじめたのが3年生になるころでした。そして一歩踏み出してみると,某旅行雑誌での読者モデルのバイト,そこで知り合った人に紹介された某ラジオ番組の早朝バイト,1年生の時からの居酒屋,そこのマスターが手を広げた丼屋でのバイト,地下鉄の一駅の移動時間を立ったままで眠るような忙しさではありましたが,世界は一気に広がりました。そして普段接することのできないような人たちともたくさん出会い,4年春には取材で香港旅行,秋には航空会社のモニターとして20日間のミクロネシア旅行という機会も与えてもらいました。
 しかしながら,予期はしていたものの,しっかりとツケはまわってきました。自業自得とはいえ,4年後期にもなっていまだに30単位と闘いつづけていて,そのうえ雪まつりとテストが重なっているのが分かっているのに「ミスさっぽろ」に応募しているのだから,救いようがありません。でも4年生になった時点で,就職活動のためと,ラジオ局以外のバイトをすべてやめ,楽しかったミクロネシアの卒業旅行も終わり,自分の進路は「?」でいっぱい……。そんな時に地下鉄の中で見かけた募集のポスター。「またいろんな経験ができる!」締切り直前に半ば思いつきで応募したのでした。もっともこれは1年間だけのもの。私はまだこれからのことを考え続けなければなりませんが,「就職」なんて小さい単位で考えるのではなく,自分の長い人生を遠くまで見通しながら,ゆっくり歩いて行きたいと思っています。
 自分なりにいろいろと一生懸命やってきた4年間でしたが,今更ながら思うのは「もっと勉強しておくんだった」ということです。なかなか胸をはって「法律を勉強をしてきた」とは言いがたい今の自分の姿をなんとも情けなく感じてしまいます。でも3年生のときに踏み出した一歩は意外に大きくて,あの一歩がなければ今の私はなかったことを思えば,後悔はありません。ただ,もう少し勉強をしたいと最近思うようになってきたのも事実で,それもあって一応今は税理士を目標に掲げています。私を知る法学部の先生には笑われてしまいそうですが……。
 でもとにかくはこの一年。なかなかできない経験ですから,一生懸命に楽しみながら頑張りたいと思っています。「あの人あれでも北大だよ」なんて,後ろ指を差されることのないように……。

(まつうら れいこ,平成9年法学部卒業)

全国のミスと談笑(さっぽろ雪まつりで)

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