学生生活における事故やトラブルを防ぐために


はじめに

 新入生の皆さん,入学おめでとうございます。
 これから皆さんは,この北大で学生生活を送ることになり,ここで思う存分青春を謳歌しようと思っていることでしょう。なかには,一人暮らし,車を運転する,お酒を飲む,スポーツetc,を楽しみにしている人もいるでしょう。でも気をつけてください。そこには危険な“落とし穴”がかくされています。大学生の皆さんには,さまざまな事故やトラブルに巻き込まれる危険性があるのです。
 ここでは,皆さんの身近に起こりうる事故やトラブルを未然に防ぐための心掛けや,事故が起きた場合の初歩的な対応をごく簡単にまとめてみました。

1.事  故

 大学生に関わる事故は,交通事故,飲酒事故,体育・スポーツ中の事故,登山などの遭難事故,実験中の事故,火事,そのほか不慮の事故などがあります。これらの事故で最悪の場合は“死”が待っています。また,場合によっては“加害者”となることもあり,その場合大学としては,事故を起こした学生に対し退学をも含む厳しい処分を講じています。

●昨年度(平成8年度)に北大生が関わった死亡事故

下表は昨年度(平成8年度)1年間に本学学生が関わった“死亡”事故の一覧です。たった1年間でこれだけの死亡事故が起きています。

発生月

学  年

性別

事 故 の 概 要 等

学内処分

平成8年6月 大学院博士1年
(留学生)

国道の交差点で,左記学生が自転車で横断歩道を渡っていたところ,かなりのスピードで赤信号を無視して交差点に進入してきた乗用車にはねられ死亡した。乗用車の運転者は業務上過失傷害の現行犯で逮捕された。


平成8年7月 大学院修士2年

学 部  4年

学 部  4年

左記学生3人が乗った乗用車が,酒気帯びのうえ赤信号を無視して交差点に侵入し,左から進行してきた車を避けようとしてハンドルを切りガードレールに激突。車外に放り出された同乗者の学部4年生1人が死亡した。運転していた修士2年生は業務上過失傷害の現行犯で逮捕された。 退学

譴責

平成8年7月 学 部  1年

左記学生が運転する乗用車が,100km以上のスピードで走行していたため,横断歩道を歩行中の男性に気づくのが遅れ,ブレーキをかけたが間に合わずこの男性をはねて死亡させた。学生は業務上過失傷害の現行犯で逮捕された。 無期停学
平成8年7月 学 部  2年

クラブの合宿中,部員の左記学生と飛行指導教官の2人がグライダーで飛行訓練を行っていたところ,グライダーの機首が上がり過ぎたため突然失速し墜落,2人とも死亡した。


平成8年8月 学 部  3年

10階建てマンション屋上で友人3人と花火遊びをしていた左記学生が,自分で点火したネズミ花火に驚き,後ずさりしたところ,そのまま転落し死亡した。屋上の周りには高さ約20cmのコンクリートの段差しかなく,立ち入り禁止の場所であった。


平成8年12月 学 部  2年

乗用車を運転していた左記学生が,交差点で左折するために後方に気を取られたため,前方で自転車を押し歩いていた男性に気づくのが遅れ,避けきれずにこの男性をはねて死亡させた。 無期停学

 この表にあるほか,近年は交通死亡事故はもちろん,飲酒による死亡事故(平成6年4月,平成7年9月),スキーでの死亡事故(平成8年1月),登山での死亡事故(平成6年9月,12月),実験中の死亡事故(平成4年8月)などが発生し,本学学生の若く尊い命が失われています。また,死には至らなかったものの,一歩間違えばという事故も多数発生しています。

●事故を防ぐには?もし事故が起きたら?

 ではどうしたらこのような事故を防げるか,また万が一事故が起きた場合,まわりにいる人はどのように対処すれば良いか,わかりやすく表にまとめてみました。

事故の種類 事故を防ぐには 事故が起きた場合の対処
交通事故 ・無謀な運転はしない,させない。
・飲酒運転は絶対しない,させない
・シートベルトを着用する。
・その他の交通ルール・マナーを守る。
・110番通報をする。
・119番通報をする。
・救急車が来るまで,事故者の手当てなどをする。
飲酒事故
(急性アル
コール中毒)
・一気飲み,無茶飲みは絶対しない,させない。
・無理強いをしない,させない。
・自分の体質を知り,常に節度ある飲み方を心がける。
・食べながら,ゆっくり飲む。
・絶対一人にせず,衣服をゆるめて楽にしてやる。体温低下防止のため,毛布などをかける。吐きそうになったら抱き起こさず,横向きで吐かせ,吐物で窒息するのを防ぐため,横向きに寝かせる。
・大いびきをかいて,つねっても全く反応がない。口から泡を吹いている。体温が下がって全身が冷たい。呼吸が異常に早くて浅い。または異常にゆっくりで時々しか息をしない。血を吐く―など,こんなときは,すぐに119番通報で救急車を呼ぶ。
体育・スポーツ
中の事故
・過激な運動をしない,させない。
・「危険覚悟」の無謀な行動をしない,させない。
・自己の運動能力を過信しない。
・119番通報をする。
・救急車が来るまで,事故者の手当てなどをする。
登山事故
(遭難)
・綿密な計画を立てる。
・登山計画を知人等に知らせ,計画書を警察署等に提出する。
・十分な装備と非常食などを携帯する。
・初心者だけで行動しない。必ず経験者を同行させる。
・慎重な行動をとり,危険を感じたら引き返す勇気を持つ。
・講習会等に参加する。
・遭難者を救助する。
・事故者を安全に処置できる場所に移し,ケガの手当てをする。
・地元の警察署などに連絡する。
・救助隊が到着するまで,事故者を励ましながら介抱する。
・救急車の待機を要請する。
実験・実習中の
事故
・指導教官の指示に従う。
・機械の操作技術や薬品などの性質や成分の基礎知識を身につける。
・道具等の取り扱いに十分注意する。
・服装などに注意する。
・119番通報をする。
・救急車が来るまで,事故者の手当てなどをする。
火  事 ・寝タバコはしない。
・火の後始末をきちんとする。
・消火器を用意する。
・初期消火に努める。
・119番通報をする。

※事故が発生した場合,必ず大学への連絡を忘れないでください(速やかに)。連絡先は,指導教官(クラス担任)や顧問教官,所属学部の教務掛・学生掛,学務部学生課(TEL 706-2984)などです。

 なお,主に実験・実習時の注意事項や緊急時の対応,ケガや急病の応急処置などは,北海道大学安全委員会発行の「安全の手引」で詳しく説明していますので参照してください。

2.不 祥 事

 不祥事とは,公序良俗に反する行為のことを言います。大学生はやはり飲酒が原因のものが多く,昨年度には,泥酔状態で個人所有ビルのガラス戸を足で蹴り割り,出てきたビルの所有者に対し暴言を吐くなどして警察に連行されたり,営業中の飲食店の店先で小用をして営業を妨害したり,クラブ活動団体が全国大会に出場した際,夜行バスの中で大量をして営業を妨害したり,クラブ活動団体が全国大会に出場した際,夜行バスの中で大量飲酒をして騒ぎ,吐いても後始末や運転手や大会関係者に謝罪することもなく,他の不祥事も重なって結局失格処分となり,主催者から本学に厳重抗議が届くという事態がありました。
 また,インターネットを利用した新手の不祥事も発覚しました。他人のユーザーIDおよび名前を無断で使用し,学内にある端末機器を使用して,某ホームページに公序良俗に反するメッセージを投稿したというものです。
 これらの不祥事は犯罪ないしそれに類するものであり,「ちょっとしたイタズラ」や「ちょっとハメをはずした」で済まされるものではありません。本学では不祥事を起こした学生に対して,学籍上の処分をも含む厳しい態度で臨んでいます。
 これらの不祥事を防止する方法,それは自分の心がけ一つです。要は「悪いことはしない」「人に迷惑をかけない」ただそれだけです。

3.その他のトラブル

(1) 「悪徳商法」にご注意

 下宿先やアパートで,訪問販売や割賦販売と称して,物品の押し売りをしたり,電話で「うまい話がある」と言って話をし,知らぬ間に契約が成立していたというような詐欺まがいの悪徳商法が横行しています。不要なものはきっぱりと断り,被害に遭わないように十分注意しましょう。安易な「ハイ」は命取りになります。

(2) 「自己改革」にご注意

 最近,「性格を積極的に変えれば,仕事や人生がうまくいく」などと勧誘し,心理面に関わるセミナーを開催する『自己啓発セミナー』『精神修養講座』でのトラブルが増えています。トラブルの内容は,高額な受講料の解約でもめたり,家族や友人との人間関係がこじれた,などというものです。性格を変えたいからといって,安易に講座内容や契約内容を明確にしないで受講すると,これらのトラブルに発展する恐れがありますので十分注意が必要です。
 なお,本学には『学生相談室』(TEL 706-2107)があります。自分の性格に悩みがあるときなどは積極的に利用してください。
 また,上記(1),(2)についての相談先として,学外には下記のものがあります。
    ・北海道消費者センター相談窓口 TEL 271-0999
    ・札幌市消費者センター消費生活相談室 TEL 211-2121

(3) 「破壊的カルト」にご注意

 キャンパスや街頭でいろいろな団体が勧誘をしていますが,そのなかには破壊的カルトが含まれていることがあります。思わぬ悲劇に巻き込まれる恐れもありますので,十分注意してください。
 偽サークル,偽学生,偽募金,偽ボランティアなどの形で言葉巧みに勧誘してくることが多く,その一部は本物の学生を使っていることもありますが,真の目的は宗教勧誘ですから,何かおかしいと感じたら相手にその点を問いただしてみましょう。それらを隠すようでは本物ではありません。
 そのほか,ありとあらゆるテクニックを使って勧誘してきますが,強い意志と勇気を持ってキッパリと断りましょう。

おわりに

 札幌では今年に入り,大学生が深夜の路上で強盗や暴漢に襲われるという事件が相次いでいます。このように,大学生を取り巻く状況は決して安全とは言えず,いかなるところでも事件,事故,トラブルが発生する可能性があります。しかしこれらの大部分は,自分自身の心がけ一つで未然に防ぐことができるはずです。「まさか自分が…」を捨て,日頃から「自覚と注意」を持って行動してください。
 私たちは,厳しい受験戦争を切り抜けて晴れて本学に入学した皆さんが,こんなことで将来を棒に振ることがないよう,学生生活を安全かつ有意義に送られるよう念願しています。

(学務部学生課 TEL 706-2984)

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