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学生委員会委員 土 井 時 久 |
学生委員会は,「学生生活実態調査」をおこなうことにしております。学生,院生の厚生に関する参考資料とするのが目的です。対象となるのは無作為に抽出した20%の学生です。同様の調査を1993,95年度におこないました。この調査は隔年で実施する方針です。学部・大学院別の質問票を準備しております。皆さんのご協力をお願いします。
内容は学生の住居,通学方法,アルバイト,経済状況等に関するものが主で,これらは記号で回答していただきます。最後に,北大に対する期待,要望を自由に記入していただく欄があります。
前回の調査結果は「学生生活実態調査報告書・1996年版」として学務部から印刷公表(1997・1)しております。その結果から特徴的な部分を紹介しましょう。
1)月々の支出額は,学部の場合13万円未満が74.3%を占めるのに対して,修士では72.9%,博士では50.8%となり,三分の一以上の博士課程の院生は,15万円以上の支出となっていました。最近は,大学院生の数が増加して,必ずしも奨学金をうけられるとは限らず,特に修士では受給が難しくなっており,アルバイトが研究時間を少なくすることが憂慮されます。
2)北大生(学部)のうち道外出身者の比率は前回は54.4%,これは1968年の35.3%にくらべてずいぶんふえております。北大志望の理由のなかで,北大の特色・学風が34%,北海道・札幌の気候風土に惹かれてというのが26%でしたが,この数字を皆さんはどう受けとめますか?
この種のアンケート調査では自由記入形式の質問は空欄でもどってくるケースが多いのですが,依頼された場合は是非,気づいた点を遠慮なく記入してください。私は,この原稿を書くまえに前回の報告書の自由記入欄をすべて読みました。読んで,自分の認識の甘かったことを教えられ,恥ずかしく思いました。気づいた点を幾つか挙げましょう。
3)いずれも少数の事例だがと断りつつ,講義に熱意のない,あるいは下手な教授を厳しく批判しております。「はっきり言ってひどい授業をしている教授が多少います。…教授も研究が大事で授業は二の次,また,自分の意見や主張を押しつける強引な授業がいくつかあり,非常に不愉快です」(p.89)などと書かれると,私も反省すべきか? と思ったりもします。
ただ,誤解もあるようで,「以前実施した教官に対する評価のアンケート調査が,実際には意味の無い事だった」(p.126)のではなく,私はその結果を見せてもらい,自分の講義のあり方を改善するうえで参考にしております。
4)講義中に私語が多くて困るという苦情が,北大にもある(p.91)とは知りませんでした。「教師も全く注意もせず,…小学校のようなところだなと思います」などと書かれると,びっくりします。
5)事務職員に対するきびしい苦情もおどろきでした。私の周辺ではほとんど耳にしないことです。
6)土曜日の守衛の態度が悪い例として,「自主ゼミの最中に突然部屋に入ってきて,お前らオウムかなんかだろう! とどなってきた」(p.147)とあって,我が目を疑いました。文系では夜間の研究室使用も制限されるなんて…
総じて,文系学部の施設が貧弱で,学生に大変不便をかけているように思います。ゼミ生の控え室にも事欠くようでは大学とはいえません。報告書のなかには予算なしに改善できる,あるいはすべきこともあります。大学全体で取り組むべきことと考えます。重ねて,皆さんの忌憚ないご意見をお願いします。 (どい ときひさ,農学部教授)