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北方民族博物館の学芸員 笹 倉 いる美 さん
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博物館で学芸員をしています。最近,学芸員という言葉が新聞やテレビでごく普通に使われますが,実際に何をしているのかご存じでしょうか? 博物館で働いているというと,たいてい,受付をしているか,展示室で座って監視をしていると思われるようです。博物館で他の事をしている職員にはなかなか会いませんものね。では学芸員が何をしているかというと,これを説明するのはなかなか難しいのです。というのは,博物館によって学芸員の役割や仕事内容は全然違うし,法律上では「博物館」のなかに博物館も美術館も水族館も動物園もみんな入ってしまうのです。美術館の学芸員と動物園の学芸員が同じ仕事をしているとは思えませんね。動物園の学芸員さんは何をしているのかなぁ…だからこれから書くのはあくまでも私の場合です。他の博物館の学芸員さんたちはまた全然違うことをしているかもしれません。
私の先週一週間の仕事はこんな感じでした。燻蒸(資料についている(かもしれない)虫やカビをガスで殺す)の準備のため,展示してある資料を入れ替え,新しいラベルを作り,寄贈資料の受け入れをして,講演会の講師に礼状を作り,博物館資料の写真の貸し出しをして,講座の案内を作成し,他館から送られてきた本やポスターの整理をして,展示の解説をし,修学旅行の下見の先生と打ち合わせをし,子供会の団体に体験学習の講師をして,今年度収集する資料のリストを作っていました。他には質問の電話や手紙に返事を出したり,出版物を作ったり,調査にでかけたり,企画を考えたり,毎日違ったことをしています。こんなふうなので自分のしていることを簡単には説明しづらいのですが,いろいろな事ができて,たくさんの人に会えるのが学芸員のよいところと思っています。
さて最近力をいれていることに,こどもたちの博物館体験を楽しくしようというのがあります。不思議なことに,こどもの頃の博物館での体験は,とても強く心に残るものらしいのです。小さいうちから博物館に親しんで,ずっと博物館で楽しみを見つけ続けてほしいなと思うのです。それと同時に次の世代にしっかりと,今管理をまかされている資料をきちんとした形で引き継ぎたいと考えています。
普段博物館へ行かない人でも旅行先では行ったりすると思います。どうしてなのでしょうね。博物館では展示だけでなく,講座や講習会,映画館,コンサートなど様々な催しもしています。札幌だけでも多くの博物館がありますから,上手に博物館を利用するとずいぶん生活が豊かになるはずです。北大にも新しく博物館が作られるようですが,一体どんなものが北大には眠っているのでしょうね。何かとてつもないものが目覚めるのではないかと楽しみにしています。
どこの博物館でもたいてい,その博物館にしかない目玉資料があって活動の力になっています。博物館にかぎらず,人でも,そうしたユニークなものをもっていると,とても強いものです。みなさんの目玉資料も燦然と輝くようにと願っています。