宇宙開発事業団企画室 佐々木 薫 さん ![]() |
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近況
96年9月から97年8月までの1年間,勤務先の長期海外研修制度を利用して,フランス,ストラスプールにある国際宇宙大学修士コースに留学する機会を得ました。憧れの海外生活は毎日が新しい感動(人,モノ,場所=文化)との出会いで言い尽くせないほど大変充実しておりました。24カ国から集まった33名のクラスメートとはとことん議論を戦わせたり(さすがにこれだけ多国籍だと国の代表でも何でもないのにミニ国連のようで,なかなか意見の集約が大変だったのが印象的。),休みの日には仲間とハイクやドライブをして楽しむなど久しぶりの学生気分を満喫しました。帰国後は人事異動があり,研究開発評価の事務局を担当しています。日本の宇宙開発は現在大きな転機を迎えています。これまでの欧米追随型ではなく,日本は何を目指すのかを真剣に考えなければならない時代に来ています。私の仕事はこうした状況の中で,国内外の有識者に宇宙開発事業団の事業やプロジェクトを評価していただき,あるべき姿を探し出すシナリオづくりを手がけるものです。評価そのものは外部の評価委員の方々に依頼するのですが,それに先立って我々はこれから何をしていきたいのかというヴィジョンを明らかにするため半年にわたっていろいろ議論を重ねてきました。また専門分野を異にする16名の評価委員の方々との意見交換を通じて様々な視点を勉強させていただいています。実はその中には私が国際宇宙大学での研究中に指導教官としてお世話になった教授も数名いらっしゃって,思いがけず一緒に仕事をさせていただく機会を得たのでした。
学生時代の思い出
札幌市青少年科学館で天文指導員の活動を行っていました。天体観測(観望?)が趣味だったのと,子供たちとの交流に関心があったことから始めたのですが,天文指導員とは,札幌及び近郊の大学生ボランティアからなる集団で,新札幌にある青少年科学館をベースに移動天文台といって科学館が所有する移動天文車「アストロ号」(2トントラックの荷台に望遠鏡とドームが付いている)で市内のあちこち(小学校とか公園とか)へ行き,地域の子供たちと一緒に星空観望を行うという札幌市の社会教育活動の一環です。(活動は春夏秋の3シーズン各20〜30日位)この活動を通じて,月一回の指導員研修や移動天文台の後の反省会(飲み会ともいう。)で指導員間も大変に親交を深めたものでした。中には卒業して就職した後も移動天文台の講師として活躍している方もいます。私は就職して札幌を離れましたが,同じように東京近郊に在住の指導員OBは今でも時々集まっては近況を報告しあったりしています。また,実際私が今の就職先を決めたのも天文から宇宙まで語り合える仲間との出会いが大きなきっかけであり,法律や政治は一見宇宙には何の関係もなさそうな分野に見えて実は大いに重要だったりすることも分かって,俄然目標が具体化したのでした。
後輩へのメッセージ
いろいろな人と出会って,いろいろな考え方をぶつけ合って,お互いに刺激しあってください。そして是非,一生を通じてつき合えるよい友人,仲間をみつけてほしいと思います。社会人になるとどうしてもその業界の人間とのつき合いばかりが多くなるので,きっと学生時代がその絶好のチャンスだと思います。そうして得られた仲間と常にネットワークを保っておくことは相手の立場を理解して考え方の幅も広がるし,必ずプラスになると思います。
参考までに,国際宇宙大学及び宇宙開発事業団の情報は次のサイトを参照下さい。
宇宙服とスペースシャトルの先端部
(米国ヒューストンのNASAにて)