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安藤 厚 |
「影ながら応援しています」と安藤教授 |
「えるむ」創刊30周年おめでとうございます。
1996−97年度に「えるむ」の編集委員をつとめました。つい最近のことですが,その頃と比べても,「えるむ」の誌面に活気が出てきて,うれしく思っています。
それでも,学生諸君の中には「えるむ」など知らないという声も多いようです。配布方法の問題もあるのでしょうが(図書館・クラーク会館・生協店舗などにも置かせてもらってはどうでしょう?),全員に郵送というわけにもいかない以上,さしあたり教務掛の窓口等に積んであるのを手に取ってもらうためには,表紙のアピール度が重要な要素となります(1997年度ミス札幌になった松浦さんを表紙に載せた号は,全学教育の窓口の前の「えるむ」の山が消えたこともありました)。その点,この春からは題字も新しくなって,「週刊朝日」程度の水準には達しているようで,よいと思います(最近「えるむ」の表紙はなぜ女性ばかりなのだ,という声も聞きますが)。ロゴマークが○○のパクリだという声も,その程度には目を引いていると考えるべきでしょう。
連載の読み物の中では,後ろの3頁,「エルム街の偉人たち」「OLD
DAYS」「がんばれ北大」をいつも楽しく読んでいます。札幌に来て10年足らずの私には興味深い話ばかりです。「海外見聞録」も面白いです。
「えるむ」は学生の原稿が多くてなかなかいいと,私学で広報を担当している友人も言っていました。「俺に言わせりゃ」など,言いたい放題の感もありますが,理のある苦情には対策を取ろう,学生諸君の「心得違い」は正してやろう,という意気込みの教官の投稿もあって,バランスが取れています。さまざまな意見がぶつかり合う場として今後もうまく機能していけばと思います。
広報誌としての第一の使命は「必要な情報を伝える」ことです。飲酒事故,自己啓発セミナー,ネットワーク上の不正行為,宗教的勧誘,恐喝事件などの問題をタイミングよく取り上げてゆくのは学生委員会として当然ですが,そのほかにも,もう少し広い視野での広報にも目を配る必要もあるかと思います。学生生活実態調査報告書の取りまとめを担当してアンケートを読んでいると,キャンパス・プラン,施設・設備の改善,カリキュラムなどについて,大学全体の動き・その意図が学生諸君にうまく伝わっていないと感じられるところがあります。これは大学全体の広報の問題ですが,直接学生に向けた広報誌はほかにないのですから,「えるむ」にもいくらかの役割は果たせるかもしれません。その点,最近授業・カリキュラム関係の記事が増えているのは,学生委員会の守備範囲を越えるのかもしれませんが,よいことだと思います。
誌面の読みやすさを考えると,長い原稿を小さな字で詰め込んだ頁は歓迎できません。執筆者・編集者のいっそうの工夫を望みます。
編集を担当して原稿依頼・取材に走り回った経験では,北大は人材の宝庫です。編集委員の中に学生委員以外からも,特に若い人材を加えて新鮮な視点・発想を取り入れてゆくことも必要かと思います。さらに,編集助手等のかたちで,学生諸君にも編集に加わってもらうのはどうでしょう。
思いつきの言いたい放題ばかりですが,「えるむ」のますますの充実を期待しております。
(あんどう あつし,文学部教授)