「学生街とともに」

中村 亮介

「北大タウン情報」もよろしくと中村君

 「北大タウン情報」というフリーペーパーを作って,もう4年近くになる。「えるむ」に比べると“赤子”に過ぎないかもしれないが,自分たち学生や,生活の場としての学生街を中心に企画,取材を進めていく中でいろんなことを感じた。そしていま,創刊当初の学生街に対する感謝の気持ちと,「もっと活気にあふれてほしい」という希望は,より強くなっている。
 北大に入学した約8年前から,学生街の風景は大きく変わってきた。すでにその頃にはJR札幌駅は高架になっていたが,それから北口,南口の再開発が進み,札幌駅を挟んで南北の車,人の流れはますますスムーズになってきた。それに伴い,北大周辺の学生街もより注目されるようになり,オフィスやマンションも増えてきた。また,最近は北大通りの一部の拡張,北18条のアンダーパスなどによる立ち退きのため,入学当時に個人的にお世話になった定食屋や下宿も含めて,ぼくたちが親しんできた飲食店が移転したり閉店したりした。これからもますます変わっていくのだろう。それは「とてもさみしい」という思いとともに,「ぼくたちが勉強,生活しているこのあたりは北海道の中でも一等地なんだ」ということを改めて思い知らされる。まさに北海道のど真ん中でぼくたちは大学生活を送っている。
 大学院に進んでから学会に参加するようになり,国内各地の大学やその学生街を見る機会が多くあった。その度に,「何てぼくたちは恵まれた環境なんだろう」と実感した。北大ほど便利な場所にあり,広大なキャンパスを抱え,さらに充実した学生街がある大学は,今までに見たことがない。それはほかの大学と違って,農学校時代から,北大と札幌はともに成長し,切っても切れない関係にあったからだと思う。札幌の街と北大,北大生,学生街,地域住民とは密接な関係にあり,どれも重要な要素なんだと思う。現在は不景気だとはいえ,長い目で見て,札幌はこれからもまだまだ発展していくだろう。そして,一等地にある学生街は少しずつ追いやられていくかもしれない。しかし,札幌とともに成長してきた北大,その学生を支えてきた学生街はこれらも大切にしていかなければならないと思う。「少しでもその役に立ちたい」という気持ちで,いまも「北大タウン情報」を発行している。また,同じことを「えるむ」にも期待している。
 「北大タウン情報」よりもずっと歴史が長く,学内,学生の情報が多く詰まっている「えるむ」は,毎号大切に保管していて,参考にさせてもらっている。最近,題字をはじめ,タイトルカット,レイアウト等,よりぼくたち学生に密着した誌面を目指しているのが分かる。また,「エルム街の偉人たち」のような学生街に目を向けたコーナーもできた。これからも学内だけにとどまらず,学生街,地域住民も含めて企画に取り入れていってほしい。そして,学生街,札幌,北海道がより活気付くように,これからも充実した誌面を期待している。

  (なかむら りょうすけ, 理学研究科博士後期課程2年)

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