北海道大学学術資料展示(第I期)−地球惑星科学分野−

公開のご案内

 

 理学部本館におおいかぶさるような高層ビル群がキャンパスの新しい光景になりつつある。レンガ積みの3階建ての本館は,古色を帯びた正面のアーチをくぐって広い玄関ホールに立つ者に,ときには威厳にみちた雰囲気を感じさせ,ときには郷愁めいた感情をいだかせる。高い天井とすりへった階段に導かれて3階まで登り詰めれば,ドームの東西南北に「果物」「蝙蝠(こうもり)」「向日葵(ひまわり)」「梟(ふくろう)」のレリーフが白壁を飾っているアインシュタインドームである。理学部設置以来60年余に及ぶ我々大学人の営みを伝える有形無形のものがそのまま存在するところである。
 こうしたたたずまいにふさわしくこの理学部本館を「北海道大学総合博物館(仮称)」として保存する構想が進行しているが,その設置準備の一環として,3階の資料陳列室を整備して,11月24日火から「北海道大学学術資料展示(第T期)−地球惑星科学分野−」を公開する運びとなったので,以下にその概要を述べよう。

1.一般公開日・公開時間
  平成10年11月24日(水):午後2時から午後4時まで
  平成10年11月25日(木)以降:午前10時から午後4時まで (土・日曜日,祝日,休日,年末年始を除く。)
2.展示場所
  理学部本館資料陳列室(3階,S-330)及びアインシュタインドーム3階フロア周辺        
3.展示テーマ
  「北の大地が大洋と出会うところ―アイランド・アーク(島弧)」の地球科学
  〜岩石・鉱物・鉱床・化石・地層とそれらの歴史〜
4.展示内容
  北海道の周辺には,日本海・オホーツク海・太平洋が広がり,弧状列島(島状)は本州から千島・カムチャッカ半島を経て,北米大陸に連なっている。このような「島弧―海溝系」に位置する北海道は,後期中世代以降に形成された島弧変動帯における様々な岩石・地層・鉱物・鉱床とその時期に生死した化石から構成されている。
  大学院理学研究科が所蔵する「島弧変動帯」に関連した学術標本を主体に展示する。        
5.展示方法
  岩石・鉱物・鉱床・恐竜化石等の展示の他,パンフレット,パネル,ディスプレーなどによる説明の他に,画像データベースやビデオ画像モニタリングなども公開する。
6.展示事例
 1 岩石関係
  1)北海道中軸部〜サハリン沈み込み帯の岩石・鉱物〜神居古潭(かむいこたん)帯の低温高圧変成岩とその鉱物(蛇紋岩(じゃもんがん),石英片岩,ざくろ石角閃(かくせん)岩)
  2)島弧地殻深部と上部マントルの岩石―日高山脈の岩石(かんらん岩,はんれい岩,角閃岩,トーナル岩,花崗岩,グラニュライト,黒雲母片岩,角閃岩,ホルンフェルス)
  3)島弧と周辺海域の海底火山―枕状溶岩と水中火砕岩(車岩)
  4)活動的火山噴火と噴出物―火山岩・火山噴出物・温泉・地熱・火山災害と防災
 2 鉱物関係
  1)北海道産新鉱物と北海道大学関連の新鉱物(トドロキ石,テイネ石,ハラダ石,オホーツク石,ミカサ石,ヤギ石,アキモト石,カノウ石,ジョウコク石,スズキ石,トヨハ鉱,ワタナベ鉱)
  2)北海道産鉱物標本の写真データベースと検索
 3 鉱床関係
  1)熱水起源の金属鉱床(黒鉱)
  2)蛇紋岩に伴うクロム鉄鉱
  3)層状マンガン鉱
  4)石炭・石油・天然ガス
 4 恐竜化石関係
  1)大型哺乳類化石デスモスチルス (Desmostylus mirabilis)
  2)大型恐竜化石日本竜 (Nipponosaurus sachalinensis)
  3)大型恐竜化石カモノハシ竜 (Parasaurolophus walkeri)
  4)ウミトカゲ竜化石 (Clidastes verox)
  5)マチカネワニ (Tomistoma machikanense)
  以上の展示は,パネル説明,ディスプレー説明
 5 画像データベース展示,ビデオ画像モニタリング
 6 研究基盤のプロセスを説明―ルートマップ→柱状図→断面図→地質図作成,露頭スケッチ,坑内スケッチ,薄片の製作過程など
 7 研究背景と成果の説明

  (学術資料館(仮称)設置検討委員会/ユニバーシティ・ミュージアム専門委員会(展示公開実施組織))

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