田中 譲(たなか ゆずる)

1950年京都生。1972年京都大学電気工学科卒業、1974年同大学院電子工学専攻修士課程修了。工学博士(東京大学)。1974年北海道大学工学部助手.1977年同講師、1985年同助教授を経て,1990年同教授,現在に至る。1996年より北海道大学知識メディアラボラトリー長。1998年より3年間、京都大学大学院社会情報学専攻教授(併任)を兼務。この間、1985年10月より1年間、IBM社T.J.ワトソン研究所客員研究員。情報処理学会、日本ソフトウェア科学会、人工知能学会、米国IEEE各会員。データベース理論、データベース・マシン、並列処理アーキテクチャ、メディア・アーキテクチャなどの研究に従事。1994年にIntelligentPadの開発に関して日経BP技術賞大賞受賞。1995年より3年間文部省科研費特別推進研究遂行。1999年より5年間未来開拓研究推進プロジェクトを遂行。

・岸浪 建史 ・長谷川 淳 ・吉岡 真治
・原口  誠 ・山本 章博 ・佐藤 義治
・工藤 峰一 ・雨宮 好仁 ・長谷川英機
・福井 孝志 ・山本 眞史 ・酒井 洋輔
・武笠 幸一 ・末岡 和久 ・小柴 正則
・小川 恭孝 ・本間 利久 ・山本  強
・宮永 喜一

工学研究科 田中 譲

拠点形成の背景と目的
 今日、情報機器とそのネットワークは、社会の隅々にまで敷設され、IT技術を用いた情報の集積、加工、伝達は益々加速しています。さらには、モバイル情報端末などの普及により、いつどこに居ても、世界中の情報にアクセスでき、様々なサービスを受けることができる時代を迎えています。ネットワーク上に存在する、各種の情報コンテンツや情報サービスツールなどの情報資源は「知識」とみなせます。また、これらを担うネットワーク上の情報機器も「知識担体」と考えることができます。ネットワークが多様化・複雑化すればするほど、知識担体に担われる知識はネットワーク上で遍く存在するようになり、私達が手にできる知識の質と量は高まってきます。
 さて、私達は「もの」との関わり合いの中で生活しています。ですから、もし、「もの」そのものが、私達が必要とする「もの」に関する知識を直接的に語ってくれる環境ができればどんなに便利かは、容易に想像できます。しかし、現在の情報機器ではその寸法が大きく、また、通信能力に限界があり、とても「もの」と一体化した知識担体とはなりえません。もっとも、どのような「もの」の、如何なる知識が必要かを、予め分かっていれば、ネットワーク上のサーバーにしかるべき知識を入力しておき、それを取り出せば十分だと言えます。しかし、一般には、そのような予備知識のないところで、私達の活動は行われているのが現実です。そこで私達は、先進的な量子ナノエレクトロニクス技術によって、「IQチップ」と呼ばれる、通信機能つき微細知識担体を研究開発し、これを「もの」に埋め込み、知的通信技術により臨機応変にネットワークに参加させる環境の基礎を目指します。また、微小知識担体も参入した巨大なユビキタスネットワークの中で、知識を探索、編集、流通、さらには創成する知識メディア技術の研究開発も必要です。このようなハードウエア技術とIT技術により、あらゆる処に知識が遍く存在し、それを私達が利用できる「ユビキタス知識環境」の構築を最終的には目指します。このことにより、今日の情報化社会から「ユビキタス知識社会」への変革に寄与したいと考えています。

 このように、本拠点形成プログラムでは、知識メディア、量子ナノエレクトロニクス、知的通信の3つの研究グループが互いに協力・連携しあいながら、ユビキタス知識社会の実現に寄与する拠点形成を目指すのです。また、研究に参加するRA(リサーチアシスタント)にプロジェクト推進の責任を持たせるなど、若手研究者の育成に力を注いでいます。



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