高校生を対象とする体験学習「ポストゲノム科学」を開催 |
高校生を対象にした体験学習「ポストゲノム科学−遺伝子解析からたんぱく質構造決定まで−」が1月5日(土)から7日(月)までの3日間,理学研究科生物科学専攻生体高分子解析学講座 (田中勲教授) の主催で開催されました。
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遺伝子実験風景 |
この体験学習プログラムは,ゲノム解析の次のステージであるポストゲノム科学研究の最先端実験を行いながら生命科学への関心と正しい知識を身につけるという目的で,独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターが交付する子どもゆめ基金の助成金を受けて行われたものです。高校生の理科系離れが言われるなか,注目される分野の先端の研究をやさしく解説しながら,自分で実験もおこなったら興味を持つ生徒が増えるのではないかという意図で企画されたもので,プログラムではゲノムと遺伝子,たんぱく質と細胞,ポストゲノム科学とたんぱく質立体構造解析をテーマとした講義をはさみながら,ポストゲノム科学の主役であるたんぱく質の立体構造解析に関する5つのテーマの実験が行われました。体験学習プログラムには市内の高校の1,2年生30名と高校教員2名が参加し,生体高分子解析学講座の教官と9名の大学院生が指導にあたりました。
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コンピュータグラフィックス実験 |
初日はゲノム解析とポストゲノム科学をテーマにした講義からプログラムがスタートしました。次いで解析のターゲットとなる遺伝子を増幅する実験を行いました。講義が始まった時は高校の授業では耳慣れないゲノムや遺伝子,たんぱく質といった言葉が登場して参加した高校生も緊張気味でしたが,わかりやすい解説と実際に実験を行うことで興味を持って取り組んでいました。2日目はたんぱく質の発現と熱変性に関する実験を行いました。超高度好熱菌由来のたんぱく質が熱に対して非常に安定であること,またそのような極限環境下で生育する生物が実際に存在していることが参加者には大変新鮮な驚きだったようです。最終日は本プログラムのメインテーマであるポストゲノム解析におけるたんぱく質立体構造解析について,講義と実習が行われました。講義では生命を形作る分子であるたんぱく質のはたらきと立体構造の関係について実例を紹介しながら説明がありました。実習ではたんぱく質結晶の顕微鏡観察とコンピューターグラフィクスによるたんぱく質立体構造モデルの組み立てを行いました。エックス線結晶構造解析で得られた電子密度をもとにアミノ酸をつなげていって実際のたんぱく質構造モデルを構築する作業は高校生にとってたんぱく質構造の意味を理解する上で大変効果的だったようで,熱心にコンピューターに向かっていました。
3日間の体験プログラムを通じて参加した高校生はゲノムやたんぱく質というライフサイエンスの中心的テーマについて関心を持つことができたようです。参加者からは「たんぱく質やゲノムがなにかよくわかった」,「実験はとても楽しくて興味が持てた」「大学院の学生さんがとても親切だった」などの声が寄せられ,好評のうちに体験プログラムが終了しました。
(理学研究科・理学部)
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