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総合博物館第4回公開シンポジウム
「北東ユーラシアの生物多様性と保全」(Biodivesity and Conservation in Northeastern Eurasia)を開催

 総合博物館では,平成13年12月6日(木)の午後1時から5時半まで第4回公開シンポジウムとして「北東ユーラシアの生物多様性と保全」を学術交流会館第3会議室において開催しました。
客員教授による講演
客員教授による講演

 このシンポジウムでは,日露の生物学者が一同に会して行われ,ロシア側からは総合博物館第3代客員教授(H13.9.10〜H13.12.14)で,サハリン地域の野生植物の多様性解明とレッドデータ・プランツの調査を行っているロシア科学アカデミー極東支部サハリン植物園園長のアレクサンドル・タラン博士を中心に,科学研究費補助金により招へいしたロシア科学アカデミー極東支部ウラジオストック生物学土壌学研究所のユーリ・ジュラブリョフ所長,ブャチェスラフ・バルカロフ主任研究員,ゾーヤ・コジェヴニコヴァ植物標本室長が参加し,日本側からは本学獣医学研究科の大泰司紀之教授,北海道環境科学研究センターの間野勉野生動物科長らが参加し,北東ユーラシア全体を視野に入れた生物多様性理解とその保全対策に焦点を絞って,日露双方からの研究調査の現状及び保全対策の問題点や課題についての研究発表と活発な議論が行われました。
招へい研究者による講演
招へい研究者による講演

 本シンポジウムには,北東ユーラシアの生物多様性や保全対策に興味を持つ研究者,学生・院生,行政担当者,一般市民など約80名の参加がありました。会場では立見が出るほどの盛況なものとなり,口頭発表(7件)から最後の総合討論まで,終始熱心に聴講していました。また,ロシア側研究者の発表や発言については,本学農学研究科大学院生(博士課程)の福田知子さんによる日本語通訳で行われたため,一般市民にも容易に理解できる有意義な公開シンポジウムとなりました。
 今回のシンポジウムにより,今後のサハリンや極東ロシアにおける生物学の国際共同研究の発展にも寄与すると考えられ,とても実り多い国際的なシンポジウムとなりました。

講演題目及び講演者
開会のあいさつ

 諏訪正明(北海道大学総合博物館・館長)
極東ロシアにおける生物多様性の概観

 ユーリ・ジュラヴリョフ(ウラジオストック生物学土壌学研究所・所長)
サハリンの希少植物−サハリン州レッドデータブックの準備状況

 アレクサンドル・タラン(サハリン植物園・園長)・福田知子(北海道大学農学研究科)・高橋英樹(北海道大学総合博物館・教授)
絶滅危惧植物レブンアツモリソウの結果率と保護対策

 佐藤友香(北海道大学農学部)・高橋英樹(北海道大学総合博物館・教授)
TREDAプロジェクト影響地域のユニークな維管束植物小保護地区(沿海州南西部ゴルビニ・ウティオス山地)

 ゾーヤ・コジェヴニコヴァ(ウラジオストック生物学土壌学研究所・植物標本室長)
オホーツク沿海地域における維管束植物相の多様性

 ヴャチェスラフ・バルカロフ(ウラジオストック生物学土壌学研究所・維管束植物研究室主任研究員)
北方四島の生物多様性と保全

 大泰司紀之(北海道大学獣医学研究科・教授)・小林万里(北海道大学獣医学研究科)・服部 薫(北海道大学獣医学研究科)
ヒグマをとおしてみた北海道・極東・ユーラシア

 間野 勉(北海道環境科学研究センター・野生動物科長)・増田隆一(北海道大学先端科学技術共同研究センター・助教授)・釣賀一二三(北海道環境科学研研究センター)
総合討論


※通訳:福田知子(北海道大学農学研究科)

(総合博物館)